西日本高速、車限令違反点数 同名他社と取り違え通知ミス 倒産つながる経済的負担 信用「傷付けられた」
産業
2018/04/09 0:00
京都府トラック事業協同組合連合会(上田竜司会長)と関西トラック急行協組(藤城健一理事長)は2日、関西トラ急行協組の組合員、大和(だいわ)運輸(野木勇一社長、京都市伏見区)に対し、車両制限令違反による違反点数が誤って通知されていたことを公表した。両協組によると、大阪府の同名の会社と間違えたことにより発生したもので、高速道路会社が6社のデータを1台のコンピューターに入力・整理し、通知する過程でのミスが原因という。京ト協連では「ミスは違反摘発自体を根底から揺るがしかねない」と指摘している。(落合涼二) 3月1日、西日本高速道路関西支社(村尾光弘支社長、大阪府茨木市)の保全サービス事業部・道路管制センター交通管制課から連絡があり、通知ミスが明らかになった。関トラ急行協組が受け取った通知では、2017年7~8月に大和運輸で初めて5点の違反が発生したことになっており、18年1月29日付の通知書で協組の累積違反点数が10点に拡大。しかし、2月28日付の通知書では、別の組合員名に変わっており、大和運輸の社名は消えていた。 大和運輸は、関トラ急行協組から連絡を受け、17年11月1日に違反を知ったものの、日時や場所、車両ナンバー、内容が全く分からず困惑。原因を突き止めるため、12月中旬までに運行内容や業務内容を見直すとともに、複数の荷主企業に協力してもらいながら調査したが、なぜ違反となったのか分からなかった。そのため、西日本高速に直接電話したものの、「担当者がおらず相談して連絡する」と伝えられたきり、音沙汰が無かったという。 また、違反内容の改善に向け、対策を検討。確実な重量厳守のため、これまで4トン車1台で運んでいた荷物を4トン車2台に分けて輸送し、対応してきた。しかし、運賃は1台分しかなく、ドライバーも余分に必要なため、負担が増加。取引先にも迷惑を掛けないよう当分の間、利益は出なくても4トン車から8トン車に代替することを決め、5年で10台の入れ替え予定を組み、既に2台を発注した。 「車両購入代金が1台959万円、大型車の免許取得費負担を含めた諸費用は30万円以上、車種変更に伴う高速道路通行料金も1台当たり年間56万円増になるなど、経済的負担が増すのは覚悟の上で方針を固めた」(野木社長)。 重量違反に気を配ると同時に、それ以外の違反も絶対発生しないよう細心の注意を払っていたが再度、違反通知が届いた。 関トラ急行協組は、累積点数が一定になった時点で、それが無効になるまでの間、高速道路会社との契約を解除する規約は設けていない。それでも、野木氏は「創立以来47年間、車検証通り真面目に運行し、協組のメンバーや得意先に信頼してもらっていたが、西日本高速の失態で信用が傷付けられた。このまま違反が続くと、協組全体が割引停止のペナルティーを受けることになり、組合員に多大な迷惑を掛けることになりかねず、協組を辞める覚悟だった」という。 3月1日、西日本高速関西支社から「大阪にある同じ社名の会社と間違えた。迷惑を掛けてすみませんでした」と連絡が入り、1週間後、大和運輸の事務所で改めて謝罪を受けた。その席で野木氏は、通知書が送られてきてからの経緯、高速道路会社の対応、得意先への協力要請、車両の入れ替えなど経済的負担が増したことを訴えた。同席した関西トラ急行協組の上西直樹事務局長も「数年で何千万円もの負担増は会社を倒産に追い込むかも知れない重大ミス」と強調した。 西日本高速は、同月29日付で「車限令違反にかかわる累積点数通知書の誤通知について」と題した正式な謝罪文書を提出。これを受け、両協組は4月2日に記者会見を開き、発生からの経緯を説明した。会見で、上西氏は「大和運輸は法的措置を取る考えは無いが、高速道路会社は真摯(しんし)に受け止め、今後、同じミスが起こらないよう努めてもらいたい」と話した。 【写真=なぜ違反となったのか最終的な結論は出ず】