環境行動計画/実績評価、宅配再配達削減「A」 燃料電池リフト導入はC モーダルシフト 海運・鉄道で明暗
行政
2018/04/05 0:00
国土交通省は、同省の環境行動計画に盛り込んだ施策の実績と取り組みを総点検し、宅配便の再配達削減や物流施設での環境負荷低減、共同輸配送の推進について、2016年度の実績が計画での見込みを上回っているとして、「A」と評価した。一方、港湾の最適な選択による貨物の陸上輸送距離の削減物流施設への燃料電池フォークリフトの導入は、見込みを下回るため「C」と評価。トラックからのモーダルシフトは、海運が「A」なのに対し、鉄道は「C」と評価が分かれた。(田中信也) 3月29日開催の社会資本整備審議会の環境部会(原田昇部会長、東京大学大学院教授)と交通政策審議会交通体系分科会の環境部会(同)の合同会合で、環境行動計画に示された174の施策について、評価結果を報告した。 16年度の二酸化炭素(CO2)排出削減量などの実績と見込み値を比較した数値と、17年度までの取り組み状況を踏まえ、A(見込みを上回っている)、B(見込み通り)、C(見込みを下回っている)と、現段階では評価になじまない「D」の4パターンで評価。内訳は、AとBを合わせた「着実に進ちょく」が132件、「想定よりも進ちょくしなかった」(C)が23件、Dは19件だった。 物流効率化に向けた施策では「陸上輸送から海上輸送にモーダルシフトした循環資源などの輸送量」と「物流施設での自然冷媒機器導入件数」がAで、「省エネ型荷役機械の導入台数」がB、燃料電池フォークリフトの導入件数はCだった。ただ、自然冷媒機器の導入に伴うCO2削減量については「規模の小さい機器が先行した」として、「現時点では目安数値を下回る」と考察している。 宅配便の再配達削減については、16年7月に国交省庁舎内にオープン型宅配ボックスを設けて普及・啓発したり、モーダルシフトなど推進事業補助金の一部を再配達削減に関する計画策定事業に充てたりして対応。また、17年度に取り組んだ環境省との連携による「できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」を通じた普及啓発活動などにより、再配達を減らすことへの関心が高まり、多様な受取方法が活用され始めるなど「民間や政府による活動が一定の効果を上げている」ことから、A評価とした。 トラック輸送の効率化に関しては「共同輸配送の推進」「車両総重量24トン超25トン以下の車両」「トレーラの保有台数」がA評価だが、営業用トラックと自家用トラックの「営自率」はおおむね前の年度から横ばいのため、Cと評価。大型車両の導入支援などを通じ、引き続きトラック事業者の環境対策を加速する仕組みを強化していく方針だ。 モーダルシフトでは、船舶の大型化を背景に16年度の内航海運による貨物輸送量が増加するなど、海運が目標達成に向けて順調に推移。これに対し、鉄道貨物輸送量は熊本地震や北海道での台風被害が影響して微減となり、想定よりも緩やかに進ちょくしている。 更なる加速に向け、海運で鮮度保持コンテナや船舶用低炭素機器の導入補助、鉄道では大量けん引・高速走行が可能な機関車・貨車への税制特例措置などを推進。改正物流総合効率化法に基づく総合効率化計画への認定なども促進する。 【写真=施策の実績と取り組みを総点検】