全国通運、海上輸送取り扱いへ 最適なモード組み合わせ フェリー会社と検討
物流企業
2018/04/02 0:00
全国通運(杉野彰社長、東京都中央区)は、フォワーダーとして海上輸送サービスも提供できるよう新たなスキームの検討を始めた。鉄道輸送のみにこだわらず、顧客にとって最適な輸送モードの選択・組み合わせを柔軟に行い、輸送力の安定供給と拡大を図る。労働力不足の中で鉄道へのモーダルシフトが更に進めば、将来的に輸送能力がひっ迫する見通しであることなども背景にある。既に複数のフェリー会社と勉強会を立ち上げ、スキームの構築に向けて話し合いを重ねている。(高橋朋宏) 3月28日に開いた会見で、杉野社長は「鉄道だけでは、顧客に対し将来にわたって安定した輸送力を提供することはできない。顧客はこれまで鉄道以外の輸送モードを探す際、自身で行っていた。顧客に苦労させるのではなく、元請けの我々がフォワーダーとして船も利用できる会社を目指す」と明らかにした。 また、「鉄道輸送だけを提供していれば良い、という時代ではなくなっている。様々な輸送モードを提供できる仕組みをつくることは、基軸である鉄道輸送を守ることにもつながる。フェリー会社も我々と同様の課題を抱えているようで、相互利用に積極的な様子だ」とも述べた。 新しいスキームは、鉄道をメインとして補完的に海上輸送を使うのが前提ではなく、フェリーが幹線輸送として最適とみられる場合は、そのように対応する。 全国通運は毎年20万トン規模で北海道産の小麦を内航船で輸送しており、その経験も生かしていく。 2017年度の全通系コンテナ輸送量の見込みは951万トン(前年度比0.6%増)で、増収増益となる見通し。17年度上期の輸送量は463万トン(前年同期比2.3%増)と堅調だったが、2月末までの下期は台風などによる輸送障害の影響で398万トン(0.9%減)にとどまった。年間輸送量は過去3番目に多くなる見込みだ。過去最高は07年度の965万トン。 18年度の輸送量について、杉野氏は「景気動向などを勘案すれば、過去最高となる970万㌧を達成できる。荷主ごとにグループを組んで活動してきたモーダルシフト推進協議会の活動が着実に実を結んでいる。取りこぼしを無くしていけば970万トンは達成できる」と話した。 【写真=全国通運の本社が入るビル(東京都中央区)】