農水省、農産物輸送のパレット共同利用促す 協議会発足を支援 RFID管理で紛失防ぐ
行政
2018/04/02 0:00
農林水産省は農産物輸送でパレットの活用を進めるため、協議会の立ち上げを支援して同じパレットの循環利用を促す。RFID(無線自動識別)を使って移動情報を管理するとともに、パレットの使用を協議会の会員に限ることで紛失を防止。パレットの管理が難しかった農産物輸送での利用を広め、ドライバーの負荷軽減や物流効率化につなげる。(土屋太朗) 「農産物パレット推進協議会」(仮称)の立ち上げを促す。2018年度予算で新規に計上した「食品流通合理化促進事業」の3億3500万円の一部を充て、協議会発足に向けた事業を公募。夏ごろにも設立させたい考えだ。 農産物輸送では、パレットの活用による作業負荷の軽減や労働時間の短縮が見込まれているが、複数の事業者を経由するため流通経路が複雑になり、パレットの紛失が課題となっていた。協議会を通じ、レンタルパレットを共同利用・管理することで、こうした課題を解消させる。 公募は、パレットのレンタル事業を展開する企業を対象に行い、1件の採択を予定。協議会は一般社団法人として発足させる。理事会、事務局、正会員、賛助会員で構成する。 理事会は産地や卸、小売りメーカーなどの業界団体関係者が、事務局は関係業界からの出向者らが、それぞれ担うことを想定。生産者団体や卸売業者などの発荷主を正会員とし、物流事業者や着荷主は賛助会員とする。また、農水省や国土交通省、経済産業省はオブザーバーとして参加する。 パレット会社が、統一規格のパレットとして、RFIDの付いた「T11」型プラスチックパレットを貸し出す。正会員(発荷主)がパレットを利用し、協議会に会費や利用料を支払う。賛助会員(物流事業者)は、輸送やRFIDの読み込み作業、パレットの保管・返却に協力する。 協議会の発足後、まずは当該パレットを使用できる産地から、実証的に事業を開始。参加者の拡大に伴い、対象品目やエリアを広げる。「T11」以外のパレットを使用する産地には、機材の更新時期に「T11」への切り替えを促し、協議会への参加を求める。会員が増え、回収率が向上することで使用料が下がり、一層の効率化が図れることも見込む。 RFIDを使用しパレットの移動情報を管理。使用を協議会の会員のみに限定し、紛失を防ぐ。非会員に転送・販売する場合には、卸売業者などが別のパレットに積み替えるようにする。 農産物輸送の効率化に向け、農水省や国交省などは2016年12月に「農産品物流対策関係省庁連絡会議」を設置。17年11月にはパレット部会を立ち上げ、パレットの循環利用に向けた検討を進めていた。協議会の発足を支援する取り組みについて、3月20日の連絡会議で了承を得た。 【写真=パレットの普及で作業負担の軽減につなげる】