JUIDA、ドローン物流 指針策定 ポート登録、今秋開始 「空路設定」事業者の責任
産業
2018/03/29 0:00
日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長)は22日、日本初のドローン(小型無人機)物流の指針「無人航空機による物流に関する安全ガイドライン」を公表した。また、23日にはブルーイノベーション(熊田貴之社長、東京都文京区)、長野県伊那市と共同で、自動離着陸を支援するドローンポートの登録制度を今秋からスタートする、と発表。ドローン物流の本格普及を迎えるに当たり、円滑な利用と運営に向けて環境整備を推進していく。(田中信也) 2015年11月に政府が示した「3年以内にドローンを使った荷物配送を目指す」との指針に基づき、官民を挙げて18年中に離島・山間部での荷物配送の実現を目指している。こうした中、JUIDAは同年を「ドローン物流元年」と位置付け、現時点で最も難易度が高い荷物配送に関し、安全規制や利活用できる環境の整備を急いでいる。 ガイドラインは、民間企業が主体となる運用の安全指針で、ドローンを用いた物流事業への新規参入を促すことを目的に制定。早期に実現する可能性が高い離島、山間部など過疎地での2地点間の単機飛行、目視外での自動航行、垂直離着陸が可能な機体の使用を想定している。 こうした想定に基づき、飛行の前提条件には、第三者機関による適合確認、最大荷重の1.5倍以上の機体強度確保、「前方330メートル」の空域内の航空機やドローンといった飛行体を検出・回避する機能の装備、機体のカラーを「アラームレッド」として航空機と同様の閃光灯を採用――などを挙げた。 また、①飛行空路の設定②運用マニュアルの作成③リスクアセスメント(被害低減策)④遠隔監視方法⑤ハッキング対策⑥離着陸場の準備⑦保険⑧事故発生時⑨運用⑩輸送業務⑪約款の整備――など15項目について、物流事業者(利用者)に責任を持たせる事項を提示。例えば、離着陸場の準備では、機体より直径が5メートル以上長い円を設置し、ドローンポートなどの支援装置を設け、正確・安全に着陸できる手段を講じるよう求めている。 一方、ドローンを利活用する際の最大課題である飛行経路の確保に向け、ドローンポートの登録制度を創設する。ポートの利用者と管理者・運営者をマッチングし、必要に応じて双方をサポート。全国各地にドローンポートを普及させ、誰もが活用できる環境を整える。将来的には、インターネット上の地図にポートの情報を公開することも想定している。 利用者と管理者・運営者のマッチングや双方へのサポートは、JUIDAが担当。ブルーイノベーションはドローンポートシステムを開発し、管理者・運営者に提供する。伊那市は、17年に実施したポートの実証実験の知見を踏まえ、同市内での空路開設やポート設置を支援していく。 初期段階では①ポートの登録②各ポートの利用可否表示・申し込み③利用者と運営者間の決済代行――の基本機能から提供する。今秋にも、無料で使えるベータ(試作)版として開始する予定。18年度中に全国100拠点の登録を目指す。 23日、JUIDAの鈴木理事長、ブルーイノベーションの熊田社長、伊那市の白鳥孝市長による記者会見が行われた。ガイドライン策定やポート登録制度創設の目的について、鈴木氏は「ドローン物流に必要な3要素のうち、技術開発を除いて、運用方法はガイドラインで、環境整備はポート登録制度で対応できるようになる。中でも登録制度は『空の道と駅』を開くのが狙い」と説明した。 【写真=3者共同でドローンポート登録制度を創設(左からブルーイノベーションの熊田社長、JUIDAの鈴木理事長、白鳥伊那市長)】