日通/クロスボーダー輸送、ユーラシア向け専用化 定時運行で信頼性向上
物流企業
2018/03/22 0:00
日本通運は年内にも日本発中国経由の欧州向けクロスボーダー鉄道輸送サービスで、独自にコンテナ専用列車であるブロックトレインを仕立てる。これまで鉄道フォワーダーから必要コンテナ分を間借りしていた。これを専用化することで定時運行による信頼性向上や、リードタイム短縮と日通による一貫輸送で高品質化が図れると想定。9日に荷主向けに開催した「ユーラシア・クロスボーダー鉄道輸送セミナー」で発表した。 日本と中国・欧州間を結ぶ国際物流では、日中間を海運・航空輸送で運び、中国内陸から欧州までを鉄道輸送で結んだシー・エア&レールサービスを展開し、コンテナ1本に満たないLCL(混載)サービスにも対応している。ブロックトレインは、中国の鉄道貨物の統一ブランド「中欧班列(チャイナ・レールウェイ・エクスプレス)」で準備する予定だ。 リードタイムを比較すると、上海発ドイツのシュツットガルト着の荷物ならば、ハンブルク港経由の海上輸送で44日間のものを、武漢経由の鉄道輸送では25日間に短縮できる。 日通では問題点として、中欧班列などの輸送量を指摘。中国発が12万5千TEU(40フィートコンテナ換算)、欧州発が6万3千TEUとアンバランスになっているという。輸送料金は海上コンテナの3~4倍、航空貨物の半分程度だが、日通独自のブロックトレインを仕立てることで、このアンバランスな物量を調整。最終的に1運行当たりのコストを低減し、料金を抑制できるとの展望も示した。 セミナーでは中国政府が進める「一帯一路」構想について、日通総合研究所(宮近清文社長、東京都港区)のプリンシパルコンサルタントの山口修氏が講演。新シルクロード経済圏構想として、中国政府が進める世界各国での開発計画を紹介し、その基本思想である五通(①政策協調②インフラ整備③貿易円滑化④金融協力⑤人的交流)を紹介した。 また、中国国内や欧州での鉄道貨物の状況について、日通グローバルフォワーディング企画部や東アジア地域総括室や欧州日本通運の担当者が説明。鉄道貨物でユーラシア大陸を横断する場合、①シベリア・ランドブリッジ②チャイナ・ランドブリッジ(北回り)③チャイナ・ランドブリッジ(南回り)――などのルートがあり、中国経由の場合、鉄道線路の軌間の違いから満州里(北回り)か阿拉山口(南回り)、欧州に入る部分でポーランドのマワシェビチェでコンテナの積み替えがあると説明した。(佐々木健) 【写真=荷主向けセミナーで発表】