長崎県農林技術開発センター、超軽量発砲パレット開発 青果物輸送を効率化 ドライバーの負担軽減
産業
2018/03/22 0:00
長崎県農林技術開発センター(峠純秀所長)などは、ドライバーの負担軽減と長時間労働の抑制に向け、発泡スチロール製の「青果物輸送用ワンウェイパレット」を開発した。青果物の着地でリサイクル処理をできるようにすることで保管・回収の手間を省き、青果物輸送のパレット化を促進。作業の負担軽減と労働時間短縮により、長距離ドライバーの人材確保や定着化を後押ししていく。4月から販売を開始する。(上田慎二) 農林水産省の2018年度「青果物の調製、鮮度保持、流通・加工技術の開発委託事業」として開発した。県農林技術開発センターを中核機関に、全国農業協同組合連合会(JA全農、長沢豊会長)の長崎県本部や日本通運長崎支店、東海化成工業(金子卓寛社長、長崎県佐世保市)、JSPらで構成する「ワンウェイパレット開発・普及コンソーシアム」が15年度から3年かけて共同研究を実施。輸送試験には、県内外のJA(農業協同組合)や運送事業者が協力した。 パレットは、JA全農と東海化成工業、JSPが販売。価格は1枚当り千円超を見込んでいる。ポリスチレン製で、重さは1.6キログラムのため、女性でも簡単に片手で持ち運びできる。 サイズは1120ミリ四方で、高さが130ミリ。前後左右から作業できる「四方挿し」タイプだ。積載重量は800キロ(荷崩れ防止措置時)。耐水性に優れ、結露による強度低下を防ぐことができる。 使用済みのパレットは、青果市場に設置された発泡スチロール容器破砕機・減容機でインゴット化し、プラスチック製品などに再生される。破砕機が無い場合は、通常の発泡スチロールと同様のリサイクル処理を行うことができる。 製品化に当たっては、関東、関西、東北エリアの計40市場に向け、ミカンやイチゴ、バレイショ、ダイコンを延べ140回にわたって試験輸送。軽量化のメリットが大きい航空貨物輸送にも利用した。 振動・強度の解析や食品の鮮度、作業時間などを調べ、鉄道輸送や真空予冷施設でテストを行った上で、パレタイザー用の保護カバーも開発。実用的な価格帯と、輸送荷台に適用した形状・強度を確保した。 ただし、素材が発泡スチロールである特性上、取り扱いについては、フォークリフトのフォークによる破損や水平な場所での積み付け、偏荷重などへの注意が求められる。 【写真=女性でも軽々持ち上げることができる】