ヤマト運輸、運転者の走行距離短縮 農産品物流で品質向上
物流企業
2018/03/19 0:00
ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)は5日、全国の農業者が集まるイベント「N-1サミット2018」(N―1サミット実行委員会主催、事務局・オイシックスドット大地)で、「ベジネコプロジェクト」として、オイシックスと共同研究している農産品物流の課題解決に向けた取り組みを発表した。 ヤマト運輸の秋山佳子執行役員中国支社長(前法人営業部長)は「輸送需要がひっ迫する中、400キロメートル以上を超える農産品輸送は断られるケースが増えていると聞く。長距離を一人のドライバーで運行するのではなく、全国各地にある当社などのセンター、ベース、東名阪にあるゲートウェイ(GW)を使ってリレー走行すれば、一人のドライバーが走行する距離は短くなる」と説明した。 現在、宮崎県→神奈川県でトライアルを実施していることについて、オイシックスの阪下利久氏は「何よりも輸送品質が良くなった。以前は、農産物100万円当たり2万円分ほどが運行過程で不良品になっていたが、ゼロになった」と紹介した。 今後、トライアル版のサービスを5~7月に提供し、修正を加えた上で9~11月に正式にサービスを開始する。 京王電鉄の嶌田智仁氏は高速バスを活用して客貨混載し、農産品の販路を拡大する取り組みを紹介した。 外国人観光客の増加に伴い、山梨、長野、岐阜などと東京を結ぶ高速バス路線網を整備。都内にある京王グループの食品スーパーなどに高速バスで各地の農産物を直送すれば、生産者は新たな市場を獲得でき、高速バスの生産性は上がる。 都内の拠点まで運び、降ろした荷物は京王運輸(橋本隆社長、東京都多摩市)が各販売店へ配送する。嶌田氏は「我々の取り組みは一般的な客貨混載と異なり、高速バスを使って各地との新たな経済交流を創出している」と強調。 岐阜県高山市の農産物直売所との取り組みは17年9月に開始。週2回、専用の保冷コンテナで運び、輸送量は多くないものの、徐々に認知度が向上しているという。嶌田氏は「春以降、農産物の生産と出荷がピークを迎える。積極的にPRして輸送量を拡大させていきたい」とアピールした。(高橋朋宏) 【写真=オイシックスと共同研究しているベジネコプロジェクトを紹介】