EMCC/燃焼式ヒーター、池上運輸がES向上に活用 ドライバーの体調が第一
産業
2018/03/15 0:00
エバスペヒャーミクニクライメットコントロールシステムズ(EMCC、角幸一社長、神奈川県小田原市)の大型トラック用燃焼式エアヒーターは、アイドリングストップ状態でキャビン内を暖められる装置だ。池上通運(池上一義社長、群馬県長野原町)では、氷点下の早朝でも快適に出庫できることから活用し、従業員満足度(ES)向上につなげている。 トラック102台を保有する同社の主な積み荷は高原野菜、肥料、牛乳、食品原料など。主に群馬県の生産地から、大消費地の関東へ供給している。 本社のある長野原町は標高が1100メートルあり、冬は気温がマイナス15度以下になることも珍しくない。毎朝の暖機運転、フロントガラスの霜取りに30分を要し、寒い中での出発前の作業負担の軽減と燃料費節減が課題となっていた。 また、アイドリングストップがルール化されている納品先での待機時には、ドライバーはエンジンを停止した車内で、毛布をかぶって寒さをしのいでいた。 こうした状況を改善するため、同社ではエアヒーターを採用。日野自動車製の新車の大型には、EMCCの製品を順次装着している。 池上潤取締役(39)は「出発時間に合わせ、事前にタイマーでヒーターを稼働させれば、フロントガラスの霜取りは早く済む。ドライバーは早出する必要が無く、あらかじめ暖められた車に乗務し快適に出発できる。アイドリング時に比べ振動も少ないので、待機時に静かな車内で休憩することも可能。投資が必要だが、ドライバーの体調を第一に考えて導入を決めた」と話す。 池上通運では安全教育とは別に毎月1回、地球温暖化や燃料情勢などに関するドライバー研修を行っている。独自の「社内報」を作成し、様々なテーマで世界情勢を分かりやすく解説。ドライバーへの意識付けを続けている。 「『燃料がもったいない』だけでなく、なぜ今、世界で環境対策が問題となっているのか考えてもらい、一人ひとりの運転が地球環境に影響していることを理解してもらうことが大事」(池上氏) 今後も、ヒーター導入というハード面に加え、ソフト面からも環境への貢献を進めていく考えだ。(吉田英行) 【写真=ソフト面からも環境への貢献を進める】