中ト共済/駐車場案内システム、簡単操作で利用広がる スマホでスペース検索 運行計画策定に生かす
団体
2018/03/15 0:00
中国トラック交通共済協同組合(小丸成洋理事長)が運営する「大型車駐車場案内システム」の利用が着実に増えている。駐車場は3千件登録されており、組合員であれば無料で利用可能。ドライバーは出先でスマートフォン(スマホ)を使って駐車スペースを検索でき、配車担当者は事務所のパソコンでチェックして運行計画の策定に生かせる。なぜ中ト共済はこのシステムを構築したのか――。(江藤和博) 同システムは2017年6月から運営されているもので、中国地方の主要幹線道路沿いのコンビニエンスストアや道の駅を中心に掲載。組合員からは「操作が簡単」「施設の詳細情報を閲覧できるのは助かる」「現場判断に使える」「グーグルマップを使用しているため見やすい」との声が寄せられており、17年12月には月間アクセス件数が2千件を突破した。 全国トラック交通共済協同組合連合会(坂本克己会長)の16年度新規事業特別助成金の対象となった事業で、中ト共済は、ホームページ(HP)の企画・制作などを手掛ける越前屋(土居貞宏社長、広島市中区)にシステムの開発を委託。越前屋では5人のスタッフが約1カ月かけて道の駅やコンビニに直接電話を掛け、登録する駐車場を絞り込んだ。 越前屋の塚本知臣営業部長(46)は「まずグーグルマップでチェックして、明らかにトラックが駐車できないところは除外し、それ以外は管理者やオーナーに電話して確認した。しかし、コンビニのオーナーはなかなかつかまらず、連絡がついても大型車の駐車に時間帯を設けるなど様々なパターンがあり、統一ルールの下に整理するのが大変だった。また、グーグルマップは1カ月に1万回以上の送受信があると課金されるため、開発費がかさまないようアクセス回数を抑えることにも努めた」と振り返る。 こうした苦労を重ねて登録した駐車場は約3千件。その精度はかなり高いと言えるが、なぜ交通共済がこのシステムを手掛けたのか――。 中ト共済の大畑卓男専務(64)は「ドライバーが連続運転4時間などを順守できる環境を整えれば、事故防止に直結する。また、女性ドライバーが増える中、トイレの情報も求められている。もともと中国地方では、岡山県トラック協会(遠藤俊夫会長)が独自に県内の駐車場マップを作成しており、組合員のニーズに応えるため、新規事業として取り組んだ」と説明する。 ただ、課題もある。コンビニの駐車場は事故率が高く、利用を禁止しているトラック事業者も少なくない。また、広範囲で運行するトラックにとって中国地方の情報だけでは利用価値が限られてしまい、他地区の情報を求められる組合員もいる。 トラック業界にとって期待されるのは機能の向上だ。国土交通省では17年夏から、次世代型自動料金収受システム「ETC2.0」搭載車が高速道路から一般道の道の駅など休憩施設への一時退出を可能とする実証実験を全国3カ所で実施。インターチェンジ退出後1時間以内であれば、目的地まで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金になる。これと駐車場案内システムを連動させれば、事故率の低い道の駅に誘導することが可能だ。 また、利用者が増えることで可能性は更に広がってくる。越前屋の塚本氏は「ガソリンスタンドや修理工場なども登録することで、利便性は掛け算で高まってくる。グーグルマップへのアクセスが月1万件を超えて課金されても、利用者が増えれば広告で収入を確保できる。将来は自動運転システムとの連動もできるだろう」と話している。 【写真=システムについて説明する越前屋の塚本部長(中央)と大畑専務(左)ら】