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政府/首都直下地震対策、物流面 広域化がカギ 支援物資 輸送車に優先給油 備蓄情報 短時間で集約

行政

2018/03/08 0:00

 今後30年間で発生率70%のマグニチュード7クラスの巨大地震から首都を守れ――。政府は東日本大震災以降、東京都を中心とした首都圏に甚大な被害をもたらすとされる首都直下地震を想定し、関係府省庁を挙げて事前防災や発災時の対応、機能回復、復旧の各段階での対策を加速させている。物流面でも、大震災で得られた教訓を生かして支援物資の調達、輸送に向けた物資拠点の開設・運用、物資輸送訓練、災害廃棄物の静脈物流など様々な角度から対策に取り組んでいるが、いずれも広域での対応がカギとなる。(田中信也)  最大で死者2万3千人、建物の全壊・焼失61万棟の被害が想定される首都直下地震。政府の中央防災会議(安倍晋三会長、首相)の首都直下地震対策検討ワーキンググループが2013年12月に取りまとめた最終報告「首都直下地震の被害想定と対策について」によると、政府機関や企業の本社など首都中枢機能が集中する東京を中心とした巨大過密都市の被害は甚大で、課題に深刻な道路交通のマヒや、電力、ガス、水道といったライフラインの供給不安定化などとともに、物流機能の低下による物資不足を挙げている。  物流機能低下の対策として、発災初期は、支援物資輸送に携わる民間のトラックを含め、災害応急対策に当たる「緊急通行車両確認標章」を掲げる車両に対し、優先給油を行う方策をあらかじめ定めておく必要性に言及。各機関の非常用救援物資の備蓄量、民間の生産在庫量の情報を短時間で集約し、被災地へ効率的に配送できる体制と、必要な物資を見込んで配送するための需要予測手法の構築を進めるべき――と指摘している。  物流ニーズが多様化し、災害支援物資とのミスマッチが広がってくることが想定される発災3日後ぐらいからは、一般消費者向けの生活必需品の輸送対策として、物流などの関係事業者を指定公共機関に指定したり、指定行政機関(都道府県)と関係事業者による災害時応援協定を締結したりして、円滑な災害応急対策を行うよう求めている。  災害対策基本法に基づく指定公共機関は、東日本大震災以前は運輸が3社で、トラック事業者は日本通運のみだった。ただ、13年10月にヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)、西濃運輸(神谷正博社長、岐阜県大垣市)、福山通運の4社を追加。14年8月には全日本トラック協会(坂本克己会長)も追加指定を受け、首都直下地震を含めた大規模災害が発生した際は広域物資輸送の司令塔役を担うこととなった。  一方、輸送に関する災害時協定は、17年3月末までに全都道府県がトラック協会と締結。都道府県倉庫協会との保管に関する協定も42件に上っている。  また、国土交通省は17年3月末までに、広域的に物資を受け入れる民間物資拠点を全国1400カ所リストアップ。16年4月に発生した熊本地震では、熊本県が物資拠点として準備していた公共施設が使用不可能になる中、初めて本格実施されたプッシュ型の支援物資の保管施設として民間物資拠点を活用。民間物流施設の有効性や、応援協定締結の必要性が実証された。  更に、熊本地震の教訓を踏まえ、支援物資物流システムの基本的な考え方として13年に取りまとめた「広域物資拠点開設・運営ハンドブック」を17年4月に改訂。被災地隣県の佐賀県や福岡県に広域物資拠点を開設したことなど熊本地震での成果を紹介し、首都直下や南海トラフ地震などの備えとして活用を促している。  救援物資を積んだ陸上自衛隊のヘリコプターが、物資拠点の大型物流施設に着陸――。国交省は1月11日、さいたま市と協力し、首都直下地震を想定したプッシュ型の災害時支援物資輸送訓練を実施。佐川急便さいたま営業所(さいたま市西区)をベースに、トラックとヘリコプターによる空輸が行われた。  ただ、災害物資の輸送訓練は陸路、空路だけではない。16年2月には、関西圏から首都圏への災害物資の海上輸送演習を実施。大阪港から貨物船で運んだ物資を川崎港で陸揚げし、東扇島基幹的広域防災拠点から、東京都と神奈川県の防災拠点に選定されている施設までトラックで輸送している。  また、南海トラフ地震に備えて17年1、2月に実施された千葉港、東京港から堺泉北港(大阪府)、徳島小松島港(徳島県)までの輸送訓練や、鉄道・航空輸送の机上訓練で得られた知見も併せ、同2月に「即応型災害支援物資輸送の実施方策」を策定。大規模災害発生時に陸海空の輸送手段を最大限に活用できるよう、国交省や内閣府、地方自治体、全ト協など関係団体で知見を共有していく。  しかし、これまでの輸送訓練は、避難施設への支援物資輸送など発災初期段階での対応がほとんどを占める。さいたま市との輸送訓練を視察した国交省の重田雅史物流審議官は、視察後に「被災から2週間程度経過すると、避難所ごとに物資のニーズが異なってくる。今後の訓練では、個別のニーズを的確に踏まえたデマンド型輸送へとレベルを上げたい」と話した。  がれきの静脈物流も課題だ。首都直下地震では、東日本大震災の3100万トンを大きく上回る1億1千万トンの災害廃棄物の発生が見込まれる。環境省は、東京都内で発生する廃棄物5700万トンのうち330万トンが東京都以外での広域処理が必要とし、船舶では週当たり海上コンテナ3400個、鉄道ならば1日当たり1550個と試算。一方、国交省は、リサイクルポート施策の高度化研究会(勝見武座長、京都大学大学院教授)で港湾での広域処理について検討しており、3月末までに報告書を取りまとめる見通しだ。  東日本大震災では、緊急支援物資輸送を原則「プル型」で行ったため、被災地に混乱が生じた。ただ、熊本地震では「プッシュ型」が実施されており、課題はあったものの、我が国の震災対策は着実に進歩している。同じ失敗を繰り返してはならない。 【写真=救援物資を佐川急便のドライバーに手渡す】





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