東京団地冷蔵、国内最大の冷蔵倉庫稼働 建て替え完了 収容能力2割増 予約システム&共用車
物流企業
2018/03/05 0:00
東京団地冷蔵(織茂裕社長、東京都大田区)は1日、建て替えを進めていた大田区平和島の新たな冷蔵倉庫を稼働させた。2棟構造で、合計の収容能力は従来比20.3%増の17万7800トン。うち北棟の13万トンは冷蔵倉庫で国内最大という。省エネ型自然冷媒機器の採用で環境規制に対応するとともに、予約システムや共同トラクタを導入してドライバーの待機時間を無くす。(土屋太朗) 同社は冷蔵倉庫業者を中心とした共同出資会社で、倉庫の管理運営やテナント13社への賃貸を手掛ける。首都圏の低温物流需要が増えていることや施設の老朽化、環境規制への対応といった要因から、2015年4月に建て替え工事に着手。総投資額は360億円で、3年近くに及ぶ事業が完了した。 敷地面積は4万7300平方メートルで、地上5階建て。東京港の大井ふ頭や羽田空港に近く、コンテナによる畜肉を中心に取り扱う。 建て替えに当たり、収容能力を2割高めたのに加え、最新システムを導入。物流効率化を図り、トラックドライバー不足や労働規制に対応する。 以前は9棟だったため、入庫するトラックは1台で複数箇所に立ち寄る場合があり、非効率的だった。今回、2棟に集約したのに合わせてトラックヤードを再整備したことで、トラックの構内総走行距離と二酸化炭素(CO2)排出量を、いずれも90%減らす。 また、トラック予約システムも採用するとともに、一時待機場所に置かれたコンテナをテナントの入庫バースに輸送するための共用トラクタを導入。このトラクタを活用すれば、混雑時にコンテナを待機場に置いて退出できるようになるため、ドライバーは待機する必要が無くなる。こうした仕組みを通じて、待機時間を15分以下にする。 省エネ型自然冷媒機器を採り入れて環境にも配慮。オゾン層破壊効果の高い特定フロン(HCFC)を20年までに全廃しなければならないため、省エネ設備の導入で脱フロンを実現する。全館にLED(発光ダイオード)照明も設置した。 このほか、従来の貨物用エレベーターを無くし、垂直搬送機を配備して荷役作業効率の改善も促進。フォークリフト用の整備室も新たに設けた。バースは計99カ所用意し、待機場にはリーファーコンテナの給電設備も置いた。 2月28日に竣工式や施設見学会を実施。織茂社長は「庫腹がひっ迫している中、人手不足もあり荷役効率が悪くなるなど港湾エリアの冷蔵倉庫業者は苦労していた。今回の建て替えでそれが緩和されるのではないか。新倉庫は、9月ごろにはある程度埋まるという声がテナントから出ている」と話した。 【写真=2棟構造で、合計の収容能力は17万7800トン】