運輸労連、労使交渉が本格化 大手業績回復 処遇改善の機会 けん引役果たさねば
団体
2018/03/05 0:00
トラック業界の2018年春季労使交渉は、大手労働組合が2月27日までに会社側に対して「賃上げ1万1千円(4.5%)」の要求書を提出したことで、本格的に動き出した。一時金の統一要求額は年間120万円だが、全日通労組が年間140万円、ヤマト運輸労組も夏季分70万円を求めている。運輸労連の難波淳介委員長は27日に行われた記者会見で、賃上げに向けた経営環境について「大手を中心に業績は順調に回復しており、この機会を逃したら(ドライバーを呼び込むための)処遇改善を前進させる機会は回ってこない」と述べ、積極姿勢で臨む考えを示した。(高木明) 26日に開催された「全国単組委員長・全国ブロック代表者会議」による情勢分析について、難波氏は「第3四半期までの企業業績は増収増益が大半であり、上方修正した企業もあるほど。運賃値上げに向けた荷主との交渉も比較的順調に進んでおり、マイナス材料となる発言は余り聞かれなかった」と報告した。 近年はドライバー不足などを背景に「賃上げ率でみると、大手労組と比較して中小労組の健闘が目立つ」(武井伸泰書記次長)。難波氏は大手労組の役割についても「業界内でも規模間格差があるが、大手労組がけん引役を果たさねばならない。大手労組が先頭を走ることで、中小労組の更なる賃上げを確実なものにしていきたい」と語った。 政府が取り組む働き方改革では「現状のような長時間労働や賃金の産業間格差があっては、優秀な人材は集まってこない。現在は、働き方改革に対して労使の認識が共通のものになってきている。今回の労使交渉では、賃上げという経済闘争とともに、働き方改革も活発な議論が行われるはずだ」と述べた。 運輸労連によると、17年春の賃上げ(420労組、最終集計分)は、単純平均で全国大手労組が前の年から7円増の3383円、全労組平均は227円増の1922円だった。今春の賃上げ要求額は前年と同額で、大手労組は3月中旬を「最大のヤマ場」と設定して労使交渉に臨む。 【写真=「賃上げに向けた環境は整っている」と難波委員長】