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無期転換ルール、4月から本格化 庫内作業員の安定確保に コストアップの懸念も

産業

2018/03/01 0:00

 同じ企業に5年以上勤める有期雇用労働者が、企業に対し無期契約を申し込める「無期転換ルール」が4月にも本格化する。物流業界では、庫内作業員を中心とした有期雇用労働者を抱える事業者が多い。労働力不足が進む中、無期転換が進むことで安定的な雇用確保につながる一方、人件費の上昇など将来的なコストアップの懸念もある。企業には有期契約社員の就労実態の適切な把握と、労使間での丁寧なコミュニケーションが求められる。(土屋太朗、小瀬川厚、吉田英行)  無期転換ルールは、同一の企業との間で有期労働契約の更新が通算5年を超えた契約社員・アルバイトなどの有期契約労働者が利用できる制度。契約期間が1年の有期契約労働者の場合、5回目の更新後に無期転換を申し込む権利が発生する。申し込める期間は権利発生後の1年間で、企業は申し込みを拒否できない。  2013年4月の改正労働契約法の施行に合わせてスタートしたため、18年4月から申し込みが多数発生すると見込まれている。このため、厚生労働省は専用のサイトを通じて、企業に早期の対応を呼び掛けており、物流業界でも主に庫内作業などで有期契約労働者を雇う事業者は対応に迫られている。  ダイワコーポレーション(曽根和光社長、東京都品川区)では、4月から15人の庫内作業員が対象になる。このうち申し込みが見込まれる人数は不明だが、3月中に無期転換ルールに関する説明を行う予定。同社は、勤務地や時間を選ぶことができ、現場で高い専門性を発揮してもらう「限定型正社員」の制度を導入する計画だが、まずは現行と同条件で無期転換した上で、その後に限定型正社員に登用する二段構えで対応していく方針だ。  同条件で無期転換するため、同社は「すぐにはコストアップにはつながらない。影響は少ないと考えている」と説明。その上で、「無期転換の意向確認について話し合うことで、相互の理解が深まり、社員のモチベーションアップにつながると良い」と期待を寄せる。  また、4月から4人の庫内作業員が対象になる北関東トゥエンティワン流通事業協同組合(橋本公章理事長)は、1、2人の申し込みを見込む。現在、雇用条件や就業規則の調整に向けて社会保険労務士と協議を進めており、同協組も現行の給与体系を移行させる考え。無期転換ルールへの対応について「荷主企業から収受できる料金と、上昇する賃金とのバランスを取りながら、安定的な雇用を確保することの難しさを痛感している」(同協組)としている。





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