トラ隊列走行実験、車間距離を限界まで短縮 割り込み防止むけ 新年度
産業
2018/02/22 0:00
経済産業、国土交通の両省は2018年度から、22年の商業化を目指しているトラック隊列走行の実証実験で、技術実証や影響の検証などを更に高度化させる。1、2の両月に実施したCACC(協調型車間距離維持支援システム)搭載トラックでの実験の走行中、隊列への割り込みが発生したことを受け、車間距離を現行制度の限界まで狭めて実施する。19年1月に予定している後続車無人システムの実証実験では制度改正を行い、更に車間距離を短くする方針だ。(田中信也) 世界初となる複数のメーカーの車両による公道での隊列走行の実証実験は、1月23~25日に新東名高速道路の浜松サービスエリア(SA)―遠州森町パーキングエリア(PA)で、30日~2月1日には北関東自動車道の壬生PA―笠間PAで延べ6日間実施。政府が1日開いた「自動走行にかかわる官民協議会」で、実証の進ちょく状況と課題、18年度に実施する実証実験の構想が報告された。 新東名の実験は、トラック3台の隊列で15キロの距離を延べ13回走行。観察用車両に乗車した、車に関する専門知識がほとんど無い被験者が、視認性や追い越しといった他の車両に及ぼす影響などを検証した。13回の走行中、インターチェンジ(IC)とSAの合流部で割り込みが2回発生。なお、CACCを解除したマニュアル運転中は、3車線から2車線になる箇所で割り込みが3回発生している。 実験走行では、各トラック間の車間距離を35メートル(最高時速80キロ)に設定していたが、割り込み事案を踏まえ、18年度上期の実験では間隔を縮めて実施することを検討。最終的には、現行法上の限界値である22メートルまで詰めて行う予定だ。 また、実験車両には緑色のLED(発光ダイオード)ライトを点灯させ、荷室の側面に「トラック隊列走行実験」とペイントしたが、「不十分だった可能性もある」(垣見直彦経産省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長)との反省から、更なる視認性の向上策についても検討する。 一方、北関東道の実験では、4台の隊列による走行も実施した。18年度は新東名でも行う可能性があるが、「走行自体は成功したものの、渋滞を招くなど周囲への影響の懸念がある」ため、17年度の実験の分析結果の基、4、5月ごろに取りまとめる検証報告を踏まえ、判断する。 この結果を基に、新たな区間での実施の可否判断や選定に着手する方針だ。更に、勾配3%の北関東道よりも傾斜の激しい区間での実験も視野に入れている。 また、19年1月に予定している後続無人システムの公道実証実験は、緊急時に備えてドライバーが乗車の上で行う。後続無人システムでの「電子けん引」の要件に関する制度を今秋にも改正する予定で、後続無人の実験は「時速80㌔キロで車間距離22メートル」の限界値を更に短縮して実施する方向だ。 【写真=CACC実験では車間距離を22メートルまで縮める(新東名での実証実験、1月23日)】