貨客混載実証実験スタート、秋田県で宅配むけバス2路線 大手3社が貨物提供 交通モード拡大検討
産業
2018/02/19 0:00
秋田県で路線バスを活用した貨客混載の実証実験が14日からスタートした。県内の2路線で、宅配貨物をバスに載せて運ぶ取り組みで、公共交通の維持・確保と物流の効率化、生産性の向上を図る。こうした実証実験は県内では初となる。(黒田秀男) 実験は羽後交通(斎藤善一社長、秋田県横手市)の本荘象潟線(由利本荘市―にかほ市)と秋田中央交通(渡辺綱平社長、秋田市)の男鹿(おが)北線(男鹿市内)の2路線を選定。ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)、日本郵便(横山邦男社長、千代田区)、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)の3社が貨物を提供する。 宅配事業者が起点となるバスの営業所に持ち込み、路線バスに積み替え、終点で荷物を引き取る方式。バス内には、各事業者が専用収納ボックスを用意した。 期間は本荘象潟線が14日から28日までで、象潟発―本荘営業所着(32キロ)は日本郵便の本荘営業所発―象潟駅着(38キロ)は佐川急便の貨物で行う。また、男鹿北線は3月1日から31日まで、男鹿みなと市民病院発―湯本駐在所着(20キロ)はヤマト運輸と佐川急便が時間帯を変えて実施する。 実験では運送コストの低減や荷物の積み下ろし作業の効率性、路線バスの乗客への影響、乗合バス事業の収支などを検証。その結果を基に、本格運行や他の路線への展開、タクシーや鉄道など他の交通モードへの拡大の可能性などを検討する。 実験に先立ち、9日に開いた記者会見に秋田運輸支局の佐々木久哉首席運輸企画専門官、羽後交通の斎藤社長、秋田中央交通の渡辺社長、佐川急便の中山宏樹北東北支店長、日本郵便の浅野不二男秋田中央郵便局長、ヤマト運輸の斎藤公平・秋田主管支店長らが出席。 佐々木氏は「運送業界はドライバー不足に加え、人口減少で輸送需要も減少し、過疎地などでの人流、物流サービスの維持、確保が困難な状況にある。生産性向上の一つとして、旅客と貨物のサービスの掛け持ちを可能にする貨客混載の施策に取り組んでいる。新たな事業展開や収益の向上、輸送の効率化を図って欲しい」と説明した。 【写真=「旅客と貨物のサービスの掛け持ちを可能にする貨客混載の施策に取り組んでいる」と秋田運支局の佐々木首席専門官】