中田商事、時間制運賃に変更 大手物流企業と交渉 物量の変動「ならす」
物流企業
2018/02/15 0:00
中田商事(中田純一社長、三重県伊賀市)は1日、大手物流企業の配送業務で、時間制運賃契約をスタートさせた。定期便ドライバーの勤務時間を午後5時で区切り、以降は別のドライバーに仕事を引き継ぐことで、一人当たりの労働時間削減による働き方改革を推進する。(星野誠) 大手物流企業から請け負っている地場の配送業務では、2トントラックとワンボックス車を使い、ケース物の工業製品などを運んでいる。基本は午前8時から午後5時までの日勤で、土・日曜日は休みになるものの、物量の変動幅が大きいため、荷物が多い時は残業が発生していた。 2017年12月、中田社長は大手物流企業の営業所に対し、物量に応じた歩合制運賃を時間制運賃に変更できないか提案。1月になり、時間制を採用することで最終的に合意した。中田氏は「営業所長が理解のある人で、初交渉から1カ月足らずで了承してもらった。物量の変動を『ならす』形で、時間当たりの運賃を設定した。利益は増えないが赤字も出ない。目的は働き方改革なので、十分だと考えた」と明かす。 時間制運賃により、日勤ドライバーは原則、午後5時で業務を終了。仕事が多い場合には、午後6時~10時などに勤務時間を設定したスタッフへ、車両ごと引き渡す。中田商事は以前から時間給制度を導入しているため、運賃も同じ時間制にすることで、現場のスタッフ運用と人件費管理におけるメリットは更に大きくなる。 中田氏は「先方にも業務の全体最適化を図れるメリットがある。我が社が時間給制度を導入した理由の一つは、個々のライフスタイルに合った仕事を提供しつつ、適正な労働力を確保すること。その意味でも、時間制運賃は大きなプラスだ」と強調。 その上で、「日勤者の労働時間を管理しながら、希望者に夜間の仕事をしてもらう。既存のスタッフだけでなく、昼間に仕事を持ちながら副業を探している人や、個人事業主の参入も歓迎したい。全体のバランスを取って、労働力確保と働き方改革を両立させていく」と力を込める。 【写真=ケース物の工業製品などを運ぶ2トントラック】