カリツー、タイ進出 年内にも 倉庫業から開始 部品輸送にチャレンジ
物流企業
2018/02/08 0:00
カリツー(加藤正則社長、愛知県安城市)は年内にもタイに現地法人を設立し、倉庫業を開始する。3年後をメドにビジネスとして確立させる方針。将来的には、国内で培った自動車部品輸送の実績を基に、現地で実運送にもチャレンジして、最終的に売上高25億円を目指す。(梅本誠治) バンコク東南に位置するチョンブリ県アマタナコンを核に、複数拠点を候補に定めて営業活動を進める。タイ進出に当たっては、2017年6月に海外事業推進室を設け、10月にはバンコクで日本人、タイ人それぞれ一人の体制で調査を開始。その後、荷主からの理解が得られたことで、12月に駐在事務所を立ち上げ、常勤役員会議で進出を最終決定した。 加藤社長は「日本国内の景気は安定しており、物流センター需要もいまだ活発だ。しかし、今後の発展には限界があり、10年、20年先を考えると、余力のある今のうちに将来に向けた海外事業への投資や人材育成を進めるべきとの判断に至った」と説明する。 今後は、日本からのサポートを一層強化し、18年半ばには現法設立と倉庫事業の開始にこぎ着け、実運送への道筋をつけたい考え。タイで実運送を展開するには、現地企業が51%の株を保有する合弁企業を設立しなければならず、信頼できるパートナー企業の選定も重要になる。 18年は、みよし物流センター(愛知県みよし市)の新築と電子デバイスセンター(安城市)の増床に加え、岩手県金ケ崎町で子会社のカリツー東日本(吉富裕亮社長、福島県三春町)が使用する新事業所を竣工させるなど、大型投資が続く。 国内外で同時に重要案件を進める中、若い社員が挑戦できる環境の整備を柱に、会社の成長に向けた人材育成も強化。「社内で海外進出を検討するため、社員の経歴などを再調査したところ、英語能力テストのTOEICで高得点を獲得した人が多く、通関士の資格取得者も4人いた。そういった人材の活躍の場を提供していく」(加藤社長) 18年3月期は売上高530億円と、過去最高だったリーマン・ショック前(08年3月期)の売上高508億4千万円を上回る見通し。70周年を迎える20年3月期には売上高600億円(18年3月期実績見込み比13・2%増)、経常利益36憶円(28・5%増)の達成を目標に掲げており、今年は次世代の事業構成を占う大きな一歩になりそうだ。 タイでの事業の可能性について、加藤氏は「自動車産業の集積地で、周辺のインドシナ半島に向けた自動車部品の物流需要が増えるだろう。物流変革期を迎える中、現地では物流ノウハウが不足しており、後発でも我々がサポートできる余地は多い」との見解を示す。 更に、「タイの自動車産業は既にスキームが確立されている部分もあるが、部品在庫を持つ習慣があり、調達物流では愛知で60年にわたってきたえられてきた我々でも貢献できる可能性がある。キャリアを積みたい管理者候補のタイ人を日本で教育するなど、輸送のイロハを指導しながら自動車部品の調達物流を根付かせれば、タイでの部品輸送をリードできる。親日国でもあるので、チャレンジ精神のある若手社員を育成する場としても生かしたい」と話している。 【写真=将来に向けた海外事業への投資や人材育成を進める(本社)】