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自動運転での損害賠償、事故 メーカにも責任 保険会社の求償権を検討 国交省が3月末取りまとめ

行政

2018/02/01 0:00

 国土交通省の有識者研究会は1月26日、自動運転での損害賠償責任について、システムエラーによる事故の場合、これまで通り自動車の所有者(運行供用者)の責任は維持しつつ、保険会社から自動車メーカーへ賠償請求できる仕組みづくりを検討する方向性を固めた。3月末までに報告書として取りまとめる方針だ。(田中信也)  自動運転では、システムの欠陥・障害などに起因した事故が発生し、事故の原因・責任関係が複雑化すると想定されている。自動運転での自動車損害賠償保障法に基づく損害賠償責任の課題を抽出し、対応の方向性を検討するため、国交省自動車局は「自動運転における損害賠償責任に関する研究会」(落合誠一座長、東京大学名誉教授)を立ち上げ、迅速な被害者救済や負担の納得感、国際的な議論の状況、制度面などについて議論。同日開いた第5回会合で報告書の素案を提示し、大筋で了承を得た。  システムの欠陥による事故の損害の責任については、従来の運行供用者責任を維持しつつ、自動車メーカーにあらかじめ一定の責任を求めることや、新たにメーカーに無過失責任を負担させる仕組みについても議論したが、保険会社などからメーカーに求償権を行使できる仕組みづくりを検討していく方向性を固めた。  求償権行使のための仕組みとして①自動車のブラックボックスといわれるEDR(イベントデータレコーダー)やCDR(EDR読み取り装置)などの装着②保険会社とメーカーによる協定などのスキームの創設③原因を究明するための機関の設置――を挙げており、今後の動向を踏まえて検討していく。  また、ハッキングにより引き起こされた事故の損害は、運行供用者に責任を問えないことから、盗難車による事故と同様に政府保障事業として対応することが妥当との考え方を示した。  一方、システムの欠陥による自損事故に関しては、現在と同様にメーカーには製造物責任法(PL法)、自動車販売店については民法、あるいは任意保険である人身傷害保険を適用すべき――との見解を提示。現時点で「自賠法の改正は必要無い」とした。  更に、自動運転車両は「ソフトウェアのアップデート」といった従来の自動車とは異なる注意義務を負う可能性があるため、道路交通法など法制度に関する議論や今後の自動車技術の進展を踏まえ、負担の在り方について「引き続き内容を吟味していく必要がある」とした。また、外部データの誤謬(ごびゅう)、通信遮断などによる事故が発生した場合は、事故原因が「構造上の欠陥または機能の障害」となる可能性があるため、どのようなケースが問題となるか検討する必要があるとしている。 【写真=自動運転では、事故の原因・責任関係が複雑化すると想定される(日本自動車研究所の自動運転テストコースでのデモ、17年3月)】





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