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物流10団体トップ展望、働き方改革実現の年 生産性向上に尽力

団体

2018/01/29 0:00

 世界的な景気回復などの影響で業績好調も、労働力不足が懸念材料――。日本物流団体連合会(田村修二会長)が24日に開催した「新年の物流を語る会」で、陸・海・空、倉庫の各事業者団体、有力企業のトップが一堂に会し、2017年の総括と18年の展望を語った。国内外の好景気がしばらく続くとの観測の下、各業界とも、政府が旗印に掲げる働き方改革への取り組みを強力に推進するとともに、生産性の向上、適正運賃・料金の収受、環境対策などに力を尽くす方針をそれぞれ示した。  まず、田村会長が「働き方改革と生産性向上をセットで進めることで初めて、安定した労働力を確保することができる」と強調。続けて、「働き方改革実現の年としたい」として、物流業界一丸となった対応を求めた。  物流連の副会長を務める各企業・団体のトップからは「米国を中心に設備投資が好調で、航空貨物の実績は順調に推移している」(外山俊明・ANAカーゴ社長)など、17年の輸送・取扱実績が前の年に比べプラスだったとの報告が続いた。  半面、「輸送実績が3.1%増えたのは、トラックドライバー不足で通運へのモーダルシフトが進んだためとみているが、通運の一翼を担うトラック業界の人材難が続くことは良くない」(渡辺健二・全国通運連盟会長)、「好景気が続くと予測されるが、一方では人手不足が深刻化しており、サプライチェーン(供給網)全体の効率化・省力化が喫緊かつ大の課題」(木納裕・日本倉庫協会会長)など好景気の陰に忍び寄る深刻な労働力不足を課題とする声も相次いだ。  全日本トラック協会の坂本克己会長は「ドライバー不足が大の課題」とした上で、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった新技術を活用し、効率化を図っていく方向性を提示した。  また、業界必須の取り組みである安全・環境対策に必要なコストが「限界を迎えている」と指摘。業界の9割強を占める中小・小規模事業者が公共輸送産業として維持していくため、運賃・料金の適正収受が不可欠だが、「荷主が優越的地位にあり、隷属性も強いため(値上げを)理解してもらえない」と強調した。  更に、標準貨物自動車運送約款の改正により、運賃と料金を別建てで収受できる環境がつくられたものの、「まだ3割強の事業者しか導入できていない」状況を説明。「全産業平均に対し労働時間が3割長く、給料は2割安い」業界の構造的問題を改善するため、「法的担保に近い形で、適正な運賃・料金を収受できる方法を国土交通省とともに検討している。働き方改革で労働時間が短くなっても、給料が安ければ意味が無い。『時間も給料も世間並み』の状況を、時間外労働の上限が適用されるまでの猶予期間中に実現したい」と力を込めた。  また、日本貨物鉄道(JR貨物)の田村修二社長は「国鉄改革から30周年の17年は、ようやく黒字化を達成。アサヒビール、キリンビールによる共同輸配送といった効率化がどんどん進んだ一年だった」と振り返り、「これを土台に次のステップに進み、国鉄改革の最終目標である株式上場を目指して、まずは経営自立を果たしたい」と意欲を示した。  一方、通運連盟の渡辺会長は、モーダルシフトの更なる普及に向けて「荷主のニーズにいかに対応するかが課題だが、共同輸配送やコンテナラウンドユースなども含め、物流の効率化を進めていきたい」と言及した。国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)、航空貨物運送協会(JAFA)の会長を兼務する伊藤豊氏は、国際物流は海運、航空ともに取扱量が17年度に大幅回復したことを報告。その上で、「荷主側の技術革新によりニーズの多様化が予想されており、これに対応した安定輸送に取り組んでいく」と述べた。  環境対策については、日本内航組合総連合会の小比加恒久会長、日本船主協会の武藤光一会長が、20年1月からの船舶燃料油の硫黄分濃度規制(SOx規制)強化への対応を重点課題に挙げた。日倉協の木納会長は、災害時の対応強化とともに、二酸化炭素(CO2)排出量削減対策に力を入れていくことを強調した。(田中信也) 【写真=業界トップ8人が一堂に会し、展望を語る】





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