多磨エンジ、グループで強み最大限に 専門性高め品質向上
物流企業
2018/01/25 0:00
【大阪】多磨エンジニアリング(松本彰三社長、大阪府羽曳野市)は、関連会社の大通(松本望社長、柏原市)、中通(松本季竜社長、滋賀県彦根市)とACS(積極的な活動―企業の連結―誠実)グループを形成し、調達物流から流通加工、小口混載輸送、工事現場への機械搬入など幅広い物流に対応している。それぞれが強みを大限発揮できるよう、専門分野に特化。個々の物流ノウハウを組み合わせ、高品質及び大限のコストパフォーマンスを引き出している。(落合涼二) 松本彰三社長(76)が1965年、大阪市で据え付け工事業務を手掛ける会社を立ち上げ、その後、大通として一般区域貨物自動車運送事業に進出。多磨エンジは81年設立で、85年に大通の工事部を移管した。中通は77年、中川通商として営業を始め、運送会社の買収などを経て現在、一般貨物運送から産業廃棄物の輸送、土木工事など幅広く展開する。 ACSは、ACTIVE―COMBINATION―SINCERITYの頭文字を取ったもの。「誠実をモットーに、企業の連結を図り、より積極的に活動する会社」を表現する企業コンセプトとして掲げている。 グループ全体の保有車両は510台で、そのうち大型車が350台を占める。関東から九州にかけて10拠点に20の倉庫を構え、総床面積は8万2500平方㍍を超える。「3社とも独立採算で経営しているが、多磨エンジが受注した仕事の輸送を大通が手掛けるなど互いに連携し、物流をトータルでコーディネートしている。荷主は1業種1社という考えで、特定分野に絞る方が専門性が高まり、品質もアップする」(松本彰三社長)。 ドライバー不足を補うため、自治体などが実施する合同就職説明会に出展。1年前から採用専門スタッフを登用し、中途に加え、新卒者にも力を入れると同時に、採用モジュールの作成に努める。在籍中の社員を大事にするだけではなく、新規採用した人材が長続きするよう福利厚生面も強化する方針だ。 具体的な施策はこれから詰めていくが、月1回行っているドライバー教育の回数を増やす。松本彰三氏は「標準貨物自動車運送約款の改正に伴い、適正な運賃・料金の収受が実現すれば、待遇面の改善にもつながり、社員に還元できる」と期待する。 長時間労働抑制に向けては、2台のトラックを3人で使う乗り替え制を採り入れ、1日の拘束時間が9時間以内になるよう工夫。365日稼働する特定荷主限定の措置だが、将来的には全車に拡大する。大通と中通では長距離貸し切り輸送が多く、その日のうちに帰宅できるメリットが生まれている。 一方、スイッチ輸送システムの構築へ積極的な設備投資も進める。 2019年をメドに静岡県浜松市で1万3200平方メートルの敷地に3階建て倉庫(延べ床面積9900平方メートル)を建設。大阪府が箕面市に開発している企業用地も購入し、20年3月の引き渡し後、3階建て、延べ床面積1万5千平方メートルのセンターを設置する計画だ。 新センターには休憩室と事務所に加え、トラックセンターとしての駐車場を整備する。新名神高速道路の箕面とどろみインターチェンジ(IC)に近い立地で、府南部で稼働しているウィング車100台をシフト、浜松市と関東を結ぶ拠点として活用する。府南部は今後、平ボディー車と九州向けウィング車の運用に特化する。 また、8月には愛知県一宮市で敷地面積5940平方メートル、5階建て、延べ床面積7920平方メートルの倉庫も完成する。「1975年から倉庫業を営んでいるが、これから建て替えも出てくる。機会があれば九州にも設けたいが、関東での話もあり、数年先を見据え動きたい。付き合って良かったと思われるようなグループに育てたい」(松本彰三氏)。 【写真=関東から九州にかけて10拠点に20の倉庫を構え、総床面積は8万2500平方メートルを超える】