取引労働改善埼玉協、実証実験が来月スタート 積み込み作業時間 97分→60分以内に
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2018/01/25 0:00
【埼玉】トラック輸送における取引環境・労働時間改善埼玉県地方協議会(古井恒座長、流通経済大学教授)の会合が15日開かれ、2017年度のパイロット事業の取り組み事例について協議を行った。積み込み時の作業時間を現行の1回当たり平均97分を1時間以内に短縮することを目標に、2月6~10日に実証実験を行う。 埼玉労働局の荒木祥一局長は「働き方改革の柱となる労働時間削減は喫緊の課題。パイロット事業の成果を生かして運送業界全体に水平展開することで、労働力確保につながることを期待したい」とあいさつ。 関東運輸局の森高竜平自動車交通部長に続いて、埼玉県トラック協会の鳥居伸雄会長は「埼玉県は、全国的にも物流事業としても注目されるエリア。事業者数が増加の一途をたどっており、それだけに労働生産性の向上を図ることが欠かせない」と指摘した。 今回のパイロット事業の対象集団は、発荷主が小山企業(小山嘉一郎社長、埼玉県戸田市)で、元請け運送事業者がルートケーツー(小山忠社長、同)。ただし、真の荷主は小山企業の顧客である服飾雑貨の小売業者で、着荷主は選定されていない。小山企業とルートケーツーはグループ企業の関係にある。 小山企業の倉庫から出荷される商品は同社のTC(通過型拠点)拠点ごとに積み替えられ、各エリアの店舗に納入される。ルートケーツーが行う店舗向け配送商品の積み込み時の作業料金は有償化されていないため、双方で取り決めを行っている「商品仮置きルール」の見直しにより、店舗別仕分け作業時間の短縮を目指すという実証実験。 実験によって作業時間を短縮し、車両稼働率の向上や労働時間削減による運賃・料金のゲインシェア(成果配分)を図る。これについて、委員からは「ドライバーの給与が減少する仕組みでは失敗する。給与が減らず、労働時間も現行より増えない方策を取るべき」と指摘する意見が挙がった。更には、ドライバーを対象としたアンケートを実施することで合意した。 一方、待ち時間の記録義務付けについて、鳥居氏が「せっかく実行しているのだからデータを生かして、ぜひとも荷主側に労働時間短縮の根拠を提示して欲しい」と国土交通省側に要望した。(谷本博) 【写真=「パイロット事業では、労働力確保につながることを期待したい」と埼玉労働局の荒木局長】