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コンテナ搬入/締め切り後倒し、AEO荷主は2日前に 貨物ヤード滞留防止へ

行政

2018/01/15 0:00

 政府の官民協議会は1月末にも、船の入港の3日前としている輸出コンテナのヤードへの搬入締め切りの後ろ倒しに向け、貨物情報の提出と貨物の搬入の締め切り時間を分けるといった対策をまとめる方向だ。AEO(認定事業者)を受けた荷主については、締め切りを2日前にする。締め切りを遅くすることで、貨物のヤードで滞留を防止。手続きの効率化とともに、経済損失の解消を目指す。  12月25日、貿易手続きにかかる官民協議会(石原伸志座長、東海大学教授)を開き、搬入締め切りの後ろ倒しに向けた対策について、委員から大筋の合意を得た。ヤードの渋滞の解消についての議論も開始した。  輸出コンテナの搬入の締め切りが船舶入港の3日前になっているのは、荷主から送られる貨物の情報を、船社やフォワーダーが輸入国に送信する手続きに時間を要するからだ。情報に不備があれば、修正のために更に時間がかかる。  一方、3日前の貨物搬入は、3日間貨物をヤードに滞留させるため、経済損失につながる――との声も出ている。経済界からは「輸出金額が1兆円の企業の場合、1日当たり40億円相当の資産が滞留している」との指摘がある。  こうした現状やこれまでの議論を踏まえ、12月の会合で、政府は締め切りの後ろ倒しを実現するための二つの対策を提示した。  一つは、貨物の搬入と貨物情報の提出の締め切りを分ける方法だ。現行では、貨物と情報は共に3日前としているが、情報だけは3日前と現状通りにし、貨物の搬出については1日前に遅らせる。これにより、貨物の滞留を防ぎながら、情報の確認のための時間も確保できる。  もう一つが、正確な情報を提出する荷主に関しては、貨物と情報の締め切りを共に2日前にするやり方だ。情報に間違いが無ければ確認作業が短縮するため、締め切りの後ろ倒しが可能になる。正確な情報を送る荷主の判断には、AEO認定の取得などを参考にする方針だ。  12月の会合では、この二つの対策を併用していく方向で大筋合意を得た。1、2月ごろにも正式に取りまとめ、実際の運用に向けて動き出す。新たな法律や制度を設けることはしない。  なお、今月にも開く会合では、コンテナヤードの渋滞解消に向け、効果的な対策を検討する。(土屋太朗) 【写真=貨物情報の提出と貨物の搬入を分けるといった対策をまとめる方向(横浜港の南本牧ふ頭)】





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