国交省&さいたま市、災害時輸送へ実動訓練 ラストワンマイル 連絡体制を構築 道路寸断想定し空輸
行政
2018/01/15 0:00
国土交通省とさいたま市は11日、首都直下地震を想定した、プッシュ型の災害時支援物資輸送訓練を実施した。佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)と埼玉県トラック協会(鳥居伸雄会長)などの協力により、熊本地震で課題となった避難所までの輸送(ラストワンマイル)についての実動・情報伝達訓練のほか、道路交通網が機能しない場合を想定し、陸上自衛隊のヘリコプターによる空輸も行った。(田中信也) 実動訓練は、さいたま市との協定により、災害時など支援物資輸送拠点(同市地域内輸送拠点)に指定されている佐川急便さいたま営業所(さいたま市西区)をベースに、①広域物資拠点から避難所までの一貫したトラック輸送②広域物資拠点から地域内輸送拠点までのヘリコプターによる空輸――のパターンでそれぞれ実施した。 トラック輸送は、災害対策基本法の指定公共機関である全日本トラック協会(坂本克己会長)が手配したトラックが物資供給元から、被災時に埼玉県熊谷市に設置される広域物資拠点まで輸送し、そこで埼ト協による大型トラック(10トン車)に荷物を積み替える――ことを想定。これを受け、大型トラックで運び込まれた支援物資(毛布、紙おむつなど)を下ろし、ベルトコンベヤーで仕分けを行い、佐川急便の配送車(2トン車)4台に積み込んだ。 一方、被災による道路寸断を想定した空輸訓練は、陸上自衛隊のヘリコプターで実施。ヘリコプターで運ばれた物資は陸自隊員から佐川急便のドライバーへの手渡しにより積み下ろされ、10トン車で営業所まで横持ち輸送し、ベルトコンベヤーで2トン車に積み込まれた。 トラックとヘリコプターへの物資の積み込みが完了した後は、避難所を想定した広域備蓄倉庫まで2トン車が配送した。 訓練を視察した国交省の重田雅史物流審議官は「避難所まで物資が届き切らなかった熊本地震での反省を踏まえ、ラストワンマイルでの情報・供給の連絡体制を構築するのが今回の目的。全国で年間数億個の個配を行っている『物流のプロ』である佐川急便と関係機関の連携により、効率的に行えることが確認でき、実りの多い訓練だった」と講評。 その上で、「今回はプッシュ型輸送を想定して行ったが、被災から2週間程度経過すると、避難所ごとに物資のニーズが異なってくる。今後の訓練では、個別のニーズを的確に踏まえたデマンド型輸送へレベルを上げたい」との見解を述べた。 【写真=ヘリで運ばれた物資を陸自隊員から佐川急便のドライバーへ手渡し】