物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

未払い賃金請求期間、最長5年視野に見直し 厚労省が検討会を発足 企業の負担感強まる?

行政

2018/01/11 0:00

 厚生労働省は12月26日、労働者が賃金未払いの支払いを企業に請求できる期間の延長に向けた検討会を立ち上げた。過去2年間さかのぼって請求できる労働基準法の規定を改め、最長5年までの延長を視野に、夏ごろまでに取りまとめる。請求期間が延びれば、労働者のサービス残業の抑制が見込まれる一方、残業代の支払いが増え、企業の負担感が強まる恐れもある。(土屋太朗)  同日、賃金請求権の消滅時効の在り方に関する検討会(岩村正彦座長、東京大学法学部教授)の初会合を開き、労基法の改正に向け、同省が論点を示した。  請求できる期間の見直しは、2017年の民法改正に伴う措置。職業別にバラツキのあった債権の「短期消滅時効」を廃止し、5年間に統一した。一方、未払い賃金や退職金の請求権は特例規定として労基法に明記されており、未払い賃金は過去2年間、退職金は過去5年間、それぞれさかのぼって請求できる。  改正民法は20年4月の施行のため、労基法についても同年の適用を目指す。夏ごろまでに検討会としての議論をまとめ、その後、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で協議する。  120年ぶりとなる民法の債権分野の改正は、規定内容が現代と照らして合理的でなかったり、複雑だったりするのを解消する目的があった。未払い賃金についても、こうした趣旨を踏まえた上で検討。現行と同じ2年間を含め、最長5年を視野に議論が進みそうだ。  労働基準監督署の監督指導による賃金不払い残業の是正結果をみると、16年度の是正企業数は1349社で、支払われた未払い残業代の合計は127億円に上る。労働者の働き方改革が叫ばれる中、物流業界でも昨年、ヤマトホールディングスやSGホールディングスなどがドライバーへの未払い賃金を調査するなど対応を迫られた。  なお、検討会では、現行2年としている年次有給休暇の繰り越し期間についても検討する。 【写真=夏ごろまでに取りまとめ】





本紙ピックアップ

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

オススメ記事

暫定税率廃止法が成立

 ガソリン税(揮発油税)の暫定税率廃止法が11月28日の参院本会議で可決、成立した。ガソリン税での12月31日の廃止を規定するとともに、軽油引取税でも2026年4月1日に廃止することや、軽油の旧暫定税率廃止に当たって運輸…

農水省「備蓄米放出」、倉庫会社に保管料支援

 農林水産省は、政府備蓄米の放出に伴い本来の保管料を収受できなかった倉庫会社への支援を決めた。2025年度末までの保管料に加え、当初見込んでいなかった運送費用や、出庫を急いだことで生じた経費を支援する。その上で、同省は備…

車体課税見直し報告書、自治体の財源維持を

 総務省が設置している地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会(小西砂千夫座長、地方財政審議会会長)は11月21日、自動車の車体課税の見直しに当たって報告書を取りまとめ、地方自治体の財源として、引き続き重要な…

自動運転「L4」実用化PT、導入ガイドブック公開へ

 レベル4(L4、特定条件下での完全自動運転)トラックの2030年ごろの実用化に向け、大型車メーカー、大手物流事業者などで構成するプロジェクトチーム(PT)は、技術開発と走行環境の整備に向け、新東名高速道路で総合走行実証…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap