備福運送、重量物でモーダルシフト 一般貨物への拡大めざす
物流企業
2017/12/25 0:00
【広島】備福運送(小林政嗣社長、広島県福山市)は人手不足対策として、フェリーへのモーダルシフトに取り組んでいる。10月から関東向けなどの重量物輸送で実証実験を進めており、将来的には一般貨物の長距離輸送にも拡大したい考えだ。(矢野孝明) 利用しているのは、博多-宇野-東京で商船三井フェリー(大江明生社長、東京都港区)が週3便運航している内航RORO船。特殊車両通行許可が必要な超重量物を対象に、宇野港から東京港までの往路で乗船している。 福山地区で荷物をトレーラに積み込んだ後、宇野港まで陸上輸送。宇野港を午前9時15分に出港し、東京港へ翌日午前5時50分に到着する。そこから再び、関東の荷受け地まで陸上輸送する。実証事例では、自走時間は計6時間程度で、乗船中の約20時間を休息期間に充てている。このほか、神戸港-宮崎港の宮崎カーフェリー(黒木政典社長、宮崎市)の利用実績もある。 小林社長は「フェリーにシフトすると、走行距離が少ない分、燃料代や高速道路通行料金を削減でき、誘導車の費用も節約できる。プラス数万円の運賃があれば、採算が合う。何よりも、労務管理と安全マネジメントに有効だ」と説明。 一方で「バック進入でしか乗船できない船は、ドライバーの技術が求められ、作業手順書などが必要。また、着港地でトラックの待機場も不足している」と、課題を指摘する。 これまでの実証実験では、特車の中でも高付加価値型の荷物が対象で、件数も少ないのが現状。将来的には一般貨物までの拡大を目指す。小林氏は「長距離輸送から撤退せず、安定的な輸送サービスを提供するためにも、まずは重量物のモーダルシフトをレギュラー化させたい」と話している。 【写真=10月から関東向けなどの重量物輸送で実証実験を進めている】