40フィート背高海コン、特車許可不要に 総重量40トン以下 対象区間 一般的制限値引き上げ
行政
2017/12/18 0:00
国土交通省は2018年度末にも、特殊車両通行許可の対象車種で申請数がも多い40フィートハイキューブ(背高)の国際海上コンテナトレーラのうち、総重量40トン以下の車両の通行許可を不要とする制度を創設する。通行は道路構造的に支障の無い区間に限定し、対象区間の一般的制限値も引き上げる。申請件数の多い車種の通行許可を不要とするようかねて求めてきたトラック運送業界にとって、大きな前進と言えそうだ。(田中信也) 14日開いた社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の物流小委員会(根本敏則委員長、敬愛大学教授)の会合で、道路局が「トラックの大型化に対応した道路構造の強化」に向けた施策として明らかにした。 16年に発生した熊本地震では、熊本県内の緊急輸送道路のうち50カ所で通行止めが発生し、災害時の道路輸送への不安が顕在化。また、トラックドライバー不足で物流の生産性維持が厳しくなっており、災害時と平常時を問わない安定した物流の確保に向け、対策を講じる。 特車通行許可については、全日本トラック協会(坂本克己会長)が申請件数の多い車種を対象から除外するよう要望するなど、トラック運送業界ではかねて基準緩和を求める声が上がっていた。更に、車両制限令に基づく一般的制限値が海外の先進国に比べて低く抑えられていることや、トラック業界の労働力不足の状況などを踏まえ、基準の一部緩和に踏み切る。 対象は、特車通行許可の必要な特例車種のうち、許可件数が全体の14%と多の40フィートハイキューブの国際海コントレーラに限定。国際海コンに絞ったのは、SOLAS条約(海上人命安全条約)の改正によりコンテナ総重量の確定が輸出国に義務付けられ、総重量の把握が可能になったため。車両総重量はイギリスやドイツ、フランスなどのケースを参考に40トン以下とするが、同車種では許可台数全体の7割を占める。 制度創設に当たっては、道路の新設・改築時に適用する道路構造の基準を上げるとともに、通行を道路構造的に支障の無い区間に限定し、対象区間の一般的制限値も引き上げ。また、通行の安全を確保するため、連行禁止や交差点の徐行といった条件を設けることも視野に入れる。 特車通行許可の基準緩和、制度創設には、道路法と車両制限令の改正が必要となるため、物流小委で上がった意見・指摘などを踏まえて道路法の改正案を取りまとめ、次期通常国会に提出する。その後、1年程度かけて関係者に理解を求めるとともに、車限令も改正。一般的制限値の引き上げに基づき、国交相が対象区間を指定する。そのため、制度開始は最短で18年度末となる見通しだ。 なお、対象車種を拡大する可能性について、道路局の水野宏治道路計画調整官は「走行経路や重量を確認できるかといったハードルはあるが、時代の要請を踏まえ、可能な車種については検討したい」としている。 【写真=災害時と平常時を問わない安定した物流の確保に向け対策を講じる】