中央運輸、岩槻センター来秋稼働 医薬品流通 国際基準に対応 保冷配送サービス拡充
物流企業
2017/12/04 0:00
中央運輸(赤沢善博社長、東京都中央区)は2018年10月から、岩槻配送センター(仮称、さいたま市岩槻区)を稼働させる。医薬品流通の国際基準「PIC/SGDP」並びにBCP(事業継続計画)に対応した通過型拠点で、独自の基準で認定する「メディカルクールターミナル」に位置付けるとともに、昨秋から商品化している医薬品保冷配送サービス「ダイレクトクール」の拡充に弾みを付ける。(沢田顕嗣) PIC/SGDPは、欧州連合(EU)や米国、日本などが加盟するPIC/S(医薬品査察協定及び医薬品査察協同スキーム)のガイドラインを基につくられた、医薬品の適正流通基準。今後、日本国内で同基準への対応がルール化される公算が大きいことも見越し、新センターには次代のニーズを先取りした機能を装備する。更に、これを契機に医薬品ネットワークの強化を図ると同時に、高品質を代名詞とする共同配送拠点としても機能させる。 国道122号に至近な上、東北自動車道・岩槻インターチェンジ(IC)及び首都圏中央連絡自動車道(圏央道)・白岡菖蒲ICへのアクセスにも優れ、東日本を中心に全国への配送に適した好立地。同社では過去最大級の投資となる。 5階建てで、延べ床面積は1万9750平方メートル。大規模災害に備えて免震構造を採用するほか、非常用発電機と自家給油設備(軽油とガソリン)を設置。生命線である温度管理に万全を期すため、保冷荷さばき場にオートシェルターを導入する。一方、常温品はシートシャッターを用いて外気の流入をブロックする。 また、温度・衛生管理やセキュリティーなどが一定水準を満たしている拠点の証しであるメディカルクールターミナルの称号を付与。メディカルクールターミナルから主要卸の物流センターに直行する「ダイレクトクール」便を、現在の越谷営業所・越谷医薬品共同物流センター(埼玉県越谷市)に代わり、南東北3センターと関東14センターに向けて運行させる。 ダイレクトクールは北海道、北東北、静岡、新潟、長野、西日本と順次拡大していく構想で、終的にはアライアンスも強化しつつ、全国の10カ所にメディカルクールターミナルを整備する計画だ。 赤沢社長は「医薬品メーカーや3PL(サードパーティーロジスティクス)事業者が品質チェックのため、当社のセンターを過去4年間で70回も訪れた。求められる品質レベルがますます高度化していると感じる。新センターの開設を機に既存ネットワークも上手に使いながら、ローコストでハイクオリティーなサービスを確立する。再生医療や治験薬などの新たなニーズも取り込んでいきたい」と話している。 【写真=医薬品流通の国際基準「PIC/SGDP」に対応(完成予想図)】