政府系ファンド、宮崎カーフェリーを支援 神戸航路存続へ 22年メド新船就航 積載台数増やす
行政
2017/11/27 0:00
政府系ファンドの地域経済活性化支援機構(今井信義社長、東京都千代田区)は20日、宮崎カーフェリー(黒木政典社長、宮崎市)が運航する宮崎─神戸航路の存続に向け、再生支援を決めた、と発表した。宮崎県、地元企業などが出資する新会社にカーフェリー事業を譲渡し、新会社の元で運賃の適正化や稼働率の改善を行い、同事業を再生する。22年ごろをメドに新船を就航させる。(上田慎二) 支援対象は、宮崎カーフェリーと、船舶を所有する宮崎船舶。同機構によると、2018年3月1日をメドに新会社を設立する。宮崎カーフェリーは会社分割によりカーフェリー事業を、宮崎船舶は船舶2隻をそれぞれ新会社に譲渡し、その後、両社は特別清算を申請する方針だ。 新会社は「宮崎カーフェリー」の商号を引き継ぐ。機構と宮崎県が各1億円、宮崎市と宮崎銀行、宮崎太陽銀行、日本政策投資銀行が各5千万円、東郷メディキットとその他の地元経済界(複数、非公開)が計11億5千万円を出資する。また、宮崎、宮崎太陽、日本政策投資の3行と宮崎県信用農業協同組合連合会(迫義文理事長)から計30億円の融資を受ける。 機構によると、22年ごろをメドに新船を就航させる計画。現状では、上り便(宮崎─神戸)の貨物スペースは満席に近い状態で、労働環境改善に取り組むトラック運送事業者の需要は高く、新船はトラックの積載台数を増やし、大型化を予定している。 宮崎カーフェリーは04年4月、経営難に陥った前身のマリンエキスプレスから宮崎─関西航路を承継したが、同社が背負っていた債務を引き継ぎ、当初から多額の負債を抱えていた。その後、軽油価格高騰やリーマン・ショックで採算が悪化し、新船建造や情報システムの更新などの設備投資が困難な状況が続いた。 東京商工リサーチによると、17年3月期の負債額は、宮崎フェリーが15億7600万円、宮崎船舶は73億5600万円となっている。 今回の支援について、機構は「宮崎カーフェリーは宮崎県の農水産品を県外に輸送するための重要な役割を担い、地域経済の活性化や雇用の確保につながる」としている。 【写真=22年ごろをメドに新船を就航させる(写真は就航中のみやざきエキスプレス)】