静ト協調べ、運賃交渉 好結果4割超 中小でも値上げ成功 「要請文書作成」最多
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2017/11/23 0:00
静岡県トラック協会(大須賀正孝会長)が会員向けに行った「適正取引の実現に向けた価格交渉等の取り組みに関する調査」によると、荷主などと交渉した事業者のうち、運賃の値上げを実現したり、運賃以外の取引条件を改善できたりと、経営改善につながる結果を得た事業者が4割を超えている。また、台数別の結果をみると、大手や中堅ばかりでなく、50台以下の中小規模の事業者でも、交渉次第で運賃の値上げに成功している状況が明らかになった。(奥出和彦) アンケートは会員1351事業者のうち、49.1%(663事業者)が回答。このうち、49.9%が適正運賃収受のための交渉を「実施した(交渉中を含む)」と回答。27.9%が「実施していない」、22.2%が「今後、実施予定」とした。 更に、交渉を「実施した」と答えた事業者のうち、運賃の収受状況に変化があったかどうか(複数回答)聞いたところ、「値上げできた」が30.4%、「運賃以外の取引条件を改善できた」が13.6%となり、合わせて4割以上の事業者が何らかの改善につなげている。 更に、「値上げできた」と回答した事業者の台数別の内訳をみると、「21~50台」が32.9%と最も多く、「11~20台」24.8%、「10台以下」18.2%、「51~100台」16.7%、「101台以上」7.6%と続く。中小規模事業者でも交渉次第で、運賃が上がる機運が高まっている実態が分かった。 一方、「値上げできなかった」は16.8%、「値下げされた」は2.8%、「契約を解除された(した)」も5.6%あった。「交渉継続中」は30.8%。 また、「安全・環境対策や人件費のためのコストを十分に賄える運賃・料金を収受できているか」との問いに対しては、「一部の荷主でできている」が53.8%と最も多く、次いで「収受できている」20.5%、「収受できていない」25.7%だった。 「荷主との取引で具体的に問題(改善が必要)となる事柄」(複数回答)では、「燃料費・人件費の上昇分を適切に運賃・料金に転嫁できない」24.3%、「荷待ち時間への対策を講じてもらえない」19.2%、「付帯業務の料金を負担してもらえない」15.0%などが上位を占めた。このほか、「(著しく)低い運賃・料金を一方的に設定されている」「有料道路の利用料金を負担させられている」「労働時間を守れない運送を強要されることがある」などが続いている。 交渉方法としては、「運賃値上げの要請文書作成」が29.8%と最も多く、「説得力ある原価データ提示」25.8%、「粘り強く面会しお願いした」22.3%、「交渉スキル強化」14.3%と続いた。「運送契約の書面化」は3.3%にとどまった。 アンケートは7、8月に経営改善委員会(渡辺次彦委員長)が主体となり実施。交渉結果のほか、各事業者の交渉の成功事例167件と、失敗事例119件も掲載した。 渡辺委員長は「運賃・料金の交渉をするには、大変良い時期に来ていることが分かる。同じことをやっても成功したり、失敗したりする事例があるが、自社にどのような方法が合っているか参考にしながら、更に取り組みを強化して欲しい」と話している。