国交省、引越約款 来年6月改正 積合せ適用&解約料率上げ 解約料「2日前」20%以内
行政
2017/11/20 0:00
国土交通省は2018年6月、標準引越運送、標準貨物軽自動車引越運送の両約款を改正し、積合せ運送に適用するとともに、解約手数料を引き上げる。積合せ運送に適用するのは車両1台で複数利用者の引っ越しを行うケースが対象で、ロールボックスパレットなど容器単位で価格設定する混載は特別積合せ運送として対象から外す。また、解約手数料には運賃本体に加え、積み込み・積み下ろしなどの料金も含める。解約料が発生する期日を「前日」から「2日前」に延ばした上で、解約料率の上限を20~50%に引き上げる方針だ。(田中信也) 15日、標準引越運送約款改正検討会(野尻俊明座長、流通経済大学学長)の第2回会合を開き、15年3月の初会合で課題提起した①積合せ運送への適用の可否②解約料の見直し③荷物損壊・滅失のトラブルに関する規定の再整理――について協議。約款改正の概要を固めた。 単身者向け引っ越しサービスの需要が拡大し、車両1台で複数の利用者の引っ越しを行う積合せ運送の一層の増加が見込まれる中、「車両を貸し切って行う運送」に限定している現行の対象範囲の拡大を、前回の会合で確認していた。「消費者側はロールボックスパレットなどの特別積合せ輸送と積合せ輸送の違いが分からない」との指摘を踏まえ、容器単位で価格設定しているケースは「特別積合せ輸送」で、約款の対象外であることを条文に明記することで合意した。 解約料については、ウェブ上での一括見積もりによる契約が増加したことなどからキャンセルが増えているが、現状では貸切バスや旅行など他のサービスの約款などと比べ料率が著しく低い。また、解約料が発生する期日は短く、対象は運賃本体のみで料金が含まれていない。これら事業者側に不利な条件を問題視し、前回の会合で期日を前日から2日前までに延ばすとともに、料率を見直す方針を確認していた。 今回の会合では、全日本トラック協会(坂本克己会長)が提出したデータなどを踏まえ、事務局が改正イメージを提示。解約料の対象を拡大した上で、料率は「当日50%以内(現行20%以内)」「前日30%以内(10%以内)」、新たに設定する2日前は「20%以内」とし、これに沿って改正することで合意した。 なお、荷物損壊・滅失のトラブルに関する規定の再整理については、一部損壊・滅失と全部損壊・滅失の規定の違いが分かりくいとの指摘がある。しかし、根拠となる商法と整合しているため、見送ることで一致した。 年内にも両約款の改正告示案を取りまとめ、意見公募の手続きを経て、年明けにも公布。消費者が対象のため、周知期間を十分に確保するとともに、引っ越しのピークを避け、6月から適用(施行)する予定だ。