島根県、浜田港の物流機能強化 バイオマス関連取り込む 28年メド 取扱量16年比3.9倍
行政
2017/11/16 0:00
島根県は、浜田港(島根県浜田市)の物流機能を強化する。福井地区で水深14メートル、延長280メートルの岸壁を新たに整備。石炭を貯蔵するためのヤードも拡張する。背後にある工業団地にはバイオマス発電所や工場の建設が進められるなど、貨物の取り扱い増加が見込める。2028年をメドに、取扱量を16年比3.9倍の163万5千トンに引き上げる。(土屋太朗) 10日、国土交通省の交通政策審議会の港湾分科会(小林潔司分科会長、京都大学経営管理大学院センター長・教授)を開き、同港の港湾計画の改訂について審議。諮問した国交相に対して「適当」と答申した。 同港は、県唯一の国際貿易港として木材輸入を中心に発展。現状は原木や石炭、セメントの輸入・移入を多く手掛けている。完成車の輸出も行うが、輸出先のロシアの規制強化などで取扱量は減少傾向にある。 後背圏には、複数のバイオマス発電所の整備が進められているのに加え、パルプメーカーと化学繊維メーカーが工場の設備投資を計画。バイオマス燃料や燃料用石炭の取り扱い増加が見込まれている。 こうした状況を受け、物流機能を持つ福井と長浜の両地区で機能強化を図る。福井地区では、長浜地区での原木の取り扱いを集約するとともに、石炭の取り扱いも増やす方針。水深14メートル、延長280メートルの岸壁を新設するのに合わせ、石炭の貯蔵ヤードとして、6万7千平方メートルのふ頭用地を整備する。目標年次とする28年前半までに、石炭の取扱量を2.9倍の25万トンにする。 一方、パルプメーカーが原材料の調達先を海外に転換する計画を打ち出していることから、長浜地区では木材チップを新たに取り込む方針。水深13メートル、延長260メートルの岸壁を設け、17万トンの取り扱いを目指す。 また、新たに取り込むバイオマス燃料関連の貨物は両地区で対応し、78万6千トンに高めたい考えだ。 更に、長浜地区の取り扱い貨物量の増加に対応するため、同地区と山陰自動車道を結ぶ臨港道路を新設する。 【写真=分科会では港湾計画を「適当」と答申】