東札幌日通輸送、健康で長く働ける職場 80歳定年制を導入 認知症診断 全額負担
物流企業
2017/11/13 0:00
【北海道】東札幌日通輸送(大町勉社長、札幌市白石区)は、保健師を雇用して社員への健康指導・相談を実施するなど、健康寿命を延ばす取り組みを行い、安心して高齢まで働ける職場づくりを推進している。10月1日には、事務職の定年を10年引き上げ「80歳定年制」を導入した。(那須野ゆみ) 経営理念の実現と併せて、年々厳しくなる公的年金制度や介護保険制度など、社員の老後に対する不安を少しでも解消するため、「80歳定年制」を導入。ドライバー職の定年65歳は変更せず、健康であれば1年延長できる。 同社は、1978年の設立時から①全員参加の経営で、所定利益以上の利益は社員に分配②健康で働ける間の「終身雇用」を守り、社員の健康寿命を延ばす③社員第一の会社を目指す――を経営理念に掲げてきた。 業界を取り巻く厳しい経営環境の下で、なかなか理念を現実のものにできなかったが、2011年、経営が軌道に乗り始めたのを機に、60歳から65歳へ定年を延長。更に、15年には、「70歳まで再雇用」(嘱託社員と呼ぶ)とすることを決定した。 終身雇用とも言える80歳定年制では、「嘱託社員の定年は満80歳とし、定年に達した日をもって自然退職」とし、退職金は支給しない。また、認知症診断の費用については会社が全額負担。受診するよう指示があった場合は「いかなる理由があっても拒否できない」とした。 更に、「社員の健康寿命を伸ばす」という経営理念の下、2年前から保健師を雇用し、関連会社を含む500人の社員への健康指導や健康相談を実施。メタボリックシンドロームなどで悩む社員にはエアロバイクを貸与するなど、健康で少しでも長く働いてもらうため、真摯(しんし)な努力を続けている。 大町社長は「健康で働くことは、生きがいになるだけでなく、税金を払い、医療費を削減できるという立派な社会貢献だ。若い社員が将来への希望を持てる会社をつくるため、これからも努力したい」と語った。 【写真=2年前から保健師を雇用】