静ト協、荷主と労働環境改善へ 物流フォーラム開催 実証実験 事例を報告
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2017/11/13 0:00
【静岡】静岡県トラック協会(大須賀正孝会長)は10月31日、「荷主企業と取り組む労働環境改善・自社の経営効率化について」と題し、物流フォーラムを開いた。会員事業者に加え、荷主企業も参加。トラック輸送における取引環境・労働時間改善静岡県地方協議会(丹下博文座長、愛知学院大学大学院教授)でのパイロット事業の事例報告などを行った。(奥出和彦) 大須賀会長が「自動車は形や性能で値段が変わるが、我々が素晴らしい物流を手掛けても、経過が見えず料金は同じ。しかし、運賃を値上げできるよう、国土交通省や経済産業省も含め、皆で仕組みを検討している」と強調。 働き手の減少や長時間残業に触れ、「我々の業務は会社でタイムカードを押してスタートし、顧客先に向かい8時間働くが、行き帰り分で、2時間くらい残業となってしまう。業界間の違いが分からず、机上の計算で制度が決められることが多い。環境整備を進めないといけない。皆でしっかり勉強して、健全な業界にしていきたい」と述べた。 日通総合研究所の大島弘明氏は、2016年度パイロット事業の事例を報告した。フィルム関係の輸送では、待機・作業など、ドライバーの拘束時間を短縮。出荷から翌日の配送までの休息を、改善基準告示に沿って取得できるようにした事例を報告した。 また、外部委託を利用し、長時間の巡回集荷を短縮した冷凍食品関係の輸送や、他県の事例も紹介した。 コンサルタントの田村隆一郎氏は、静岡独自のKPI(重要業績評価指標)事業について、16年度の取り組みを説明。実際にKPIを導入したアトランス(渡辺次彦社長、浜松市東区)藤枝営業所の岩倉孝主任も、化粧品のルート配送で積載率をアップさせながらトラックの使用台数と走行距離を削減し、生産性向上につなげた事例を述べた。 渡辺社長が「現場の努力を『見える化』でき、改善へのモチベーションにつながる。一方で、管理職にはかなりの負担が掛かる。今後、どのように全社に展開していくかが課題だ」と話した。 全体のまとめとして、丹下座長が物流事業の労働改善と効率化について、今後は荷主との戦略的な共同化などが重要だと説いた。 【写真=会員事業者に加え荷主企業も参加】