東北中央道、大笹生―米沢北が開通 福島―山形・南陽 全線つながる 悪天候時も安全通行
産業
2017/11/09 0:00
東北中央自動車道の福島大笹生(おおざそう)-米沢北インターチェンジ(IC)、延長35.6キロが4日、開通した。国による直轄事業の整備で、山形側は米沢北-南陽高畠IC(8.8キロ)に接続、福島側は福島ジャンクション(JCT)を経て東北自動車道と結ばれた。既に供用している区間を含め、福島市から山形県南陽市まで全線、高速道でつながった。開通の効果として、物流効率化による地域産業の活性化や観光面の交流拡大が期待される。(黒田秀男) 同日、米沢市万世町刈安地内で福島、山形両県合同によるセレモニーが行われ、石井啓一国土交通大臣、吉野正芳復興大臣、内堀雅雄福島県知事、吉村美栄子山形県知事らが出席し、テープカットやくす玉割りなどで開通を祝った。その後、両県でそれぞれ開通式典が開かれた。 東北中央自動車道は福島県相馬市を起点に、福島市、米沢市、山形市などを経由し、秋田県横手市で秋田自動車道に連結する総延長268キロの高規格道路。山形県央の東根-山形上山ICなど一部は供用しているが、未整備の区間が多い。 開通した福島大笹生-米沢北ICは、東北中央道の福島、山形県境部に位置し、東北の道路トンネルでは最長となる栗子トンネル(延長8972メートル)がある。全区間片側1車線で、国の直轄高速道整備のため、通行料金は無料。区間内には米沢八幡原ICと米沢中央ICを開設した。 現行の国道13号による県境の栗子峠越えは難所で、降雪量が多く、急勾配、急カーブがあるため、冬期には大型車両などの立ち往生が多発し、2016年度は東北全体の8割に当たる年間130台にも上った。また、大雨や風雪による通行止めも年平均4回(過去12年間)発生している。 栗子トンネルを含む高規格道路の開通により、悪天候でも安全、安心な通行が可能になるほか、所要時間も大幅に減り、試算では福島大笹生-米沢八幡原の移動時間はこれまでの40分から20分に短縮される。 産業面では福島大笹生IC周辺に新たな工業団地整備の計画があるほか、山形県でも企業誘致に期待している。運送業界でも地元事業者の利便性は大幅に向上するが、現時点ではネットワークが未完成のため、秋田県などの事業者がどれだけ利用するかは未知数だ。 山形県の式典で、石井国交相が「開通により、地域の皆さんの安全・安心の確保や物流効率化による地域活性化、広域的な観光交流が見込める。18年度には南陽高畠-山形上山IC(延長24キロ)が開通する予定で、福島市と山形市が東北中央道で接続され、東北自動車道、山形道と合わせ、高速道路のダブルネットワークが形成される」とあいさつ。 吉村知事は「悲願の区間が開通した。本県にとっては南側の新たな玄関口であり、関東圏や太平洋岸との物流効率化や観光交流の促進など、山形創生の実現につながる」と述べた。 【写真=物流効率化による地域産業の活性化などが期待される(米沢市)】