首都高/日本橋周辺「地下化」、対象空間・ルートを協議 来夏にもスキーム計画案策定
産業
2017/11/06 0:00
首都高速道路・都心環状線の日本橋周辺の地下化に向け、国土交通省、東京都など関係者による協議が1日、スタートした。日本橋地区のまちづくりと連携して、ルートや線形、構造などを検討。2018年春にも対象区間と地下ルートの計画案を、夏ごろには概算事業費と事業スキームの計画案をそれぞれ取りまとめる予定だ。 計画案の策定に向け同日、国交省、東京都、首都高速道路(宮田年耕社長、東京都千代田区)と、地元の再開発事業を統括する中央区で構成する、日本橋地下化検討会(森昌文座長、国交省技監)を発足。初会合では、日本橋の真上を通る都心環状線の竹橋ジャンクション(JCT)―江戸橋JCTの地下化を進める経緯や課題などを確認した。 日本橋周辺区間には、周辺景観に与える影響や道路構造物の老朽化対策の両面から、かねて地元や有識者から地下化を含む再構築が提言されてきた。首都高・中央環状線の全線開通や、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備がおおむね完成したことから、同区間の撤去も検討されたが、通過交通量は減少したものの、都心環状線の出入り口の利用はほぼ変化が無く、「特に南側の区間では、撤去により交通量が3割増加する」と試算。 更に、日本橋周辺地区の再開発事業が国家戦略特区の都市再生プロジェクトに追加されたことなどを受け、石井啓一国交相と小池百合子都知事が7月、地下化の方針を決めた。 日本橋周辺は古くから都市化が進んだ地域のため、送電・配電施設、下水道、通信網、水道など地下埋設物が集まっているほか、日本橋川や地下鉄との調整、再開発事業との計画のすり合わせなど、施工に当たって多くの課題を抱える。関係各者はこれらの課題をクリアした上で、来春にも対象区間とそのルート、来夏ごろには概算事業費・事業スキームの計画案をそれぞれ策定することで合意した。 計画案策定後は、対象区間の都市計画変更などの手続きを進めていくが、着工は20年の東京オリンピック・パラリンピック開催以降になる。難工事が予想されており、開通は着工から10年以上先になる可能性が高い。 初会合では「道路の大規模更新と地区の再開発が合致したこの機を捉え、しっかり取り組みたい」「都市の価値を高めるパイロットケースになる」など前向きな意見が上がった。計画案の策定までに、検討会をあと2回程度開催する見通しだ。(田中信也) 【写真=地下化を進める経緯や課題を確認】