東京モーターショー、ふそうがEVブランド いすゞも「エルフ」で
産業
2017/10/30 0:00
自動車メーカーが出展する「第45回東京モーターショー」が25日、報道向けに公開された。大型トラックメーカー各社は、安全性や快適性、運転のしやすさなどに加え、電気自動車(EV)などの開発による環境負荷の低減を鮮明に打ち出している。 こうした流れにいち早く動いたのが、三菱ふそうトラック・バス(マーク・リストセーヤ社長兼CEO=最高経営責任者、川崎市幸区)だ。電気商用車ブランド「E-FUSO」を立ち上げ、電気トラックのリーディングカンパニーを目指すことを発表。コンセプトモデル「VisionONE(ビジョン・ワン)」を世界初公開した。 最大積載量11トンのビジョン・ワンは、1回の充電で最大350キロ走行でき、都市内の拠点間輸送での活用を想定。同クラスのディーゼル車に比べ、積載量の減少を最小限に抑えた。ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)やセブン―イレブン・ジャパン(古屋一樹社長、千代田区)に供給する電気小型トラック「eキャンター」でのノウハウを通じて、電気大型トラックの4、5年内の市販化につなげる。 いすゞ自動車は、小型トラック「エルフ」をEV化した参考出品車「エルフEV」を披露した。大容量バッテリーを搭載し、急速充電に対応、商用車として十分な性能を備える。18年から一部のユーザーを通じてモニター運用を実施し、市販化に向けた技術などを蓄積していく。また、EV化の難しい大型トラックでは、国内で唯一、圧縮天然ガス(CNG)車を生産しているが、液化天然ガス(LNG)に対応させるための開発を行っていることも明らかにした。 日野自動車は、4月に全面改良した「日野プロフィア」「日野レンジャー」とともに、11月に発売する小型トラック「日野デュトロ ハイブリッド」のワイドキャブ車を出展。併せて、電気バス「日野ポンチョ」を展示した。EV技術やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)、CNG車、ディーゼルエンジンのダウンサイジングなど、全方位で二酸化炭素(CO2)削減に取り組む。 スウェーデンのボルボ・トラックと共同出展したUDトラックス(村上吉弘社長、埼玉県上尾市)は、プレスブリーフィングで、大型トラック「クオン」に16年排出ガス規制に適合させた「4×2セミトラクタ―」を追加し、発売することを発表。また、18年後半には軽量・コンパクトな排気量8リットル級のダウンサイジングエンジンを、クオンに搭載することを表明した。 また、ボルボが日本国内に投入する主力モデル「ボルボFH」の次期モデルを参考出品。2種類のエンジンを展開し、欧州連合(EU)の最新の排ガス規制「ユーロ6」に適合しているほか、日本の16年規制にも適合させる予定だ。 今回、東京モーターショーへの初出展で注目を集めるのが、スウェーデン商用車メーカーのスカニア。国内展開するスカニアジャパン(ミケル・リンネル社長、東京都港区)は、全面改良したセミトレーラの「R20H 500 4×2トラクタ」、大型トラックの「G17N 360 6×2トラック」を初めて公開した。 世界100カ国以上で展開しているが、日本での販売を本格化させる。セミトレーラは18年春頃、トラックは18年中の発売を予定している。 モーターショーは27日に開幕し、一般公開は28日~11月5日となっている。(小瀬川厚) 【写真=ふそうが出品した電気トラック「ビジョン・ワン」】