秋元運輸倉庫/インターン、青稜高校3年生 青山奈々美さん「物流学びたい」
物流企業
2017/10/26 0:00
「物流を学びたい」と自らインターンシップに飛び込んだ女子高生がいる――。私立青稜高校(東京都品川区)3年、青山奈々美さん(18)は、秋元運輸倉庫(秋元伸介社長、港区)のインターンシップに個人で直接申し込み、春休みの3日間、運送や倉庫の現場作業の一端に触れた。青山さんは「人生の中でものすごい大事な3日間になった」と振り返り、物流への思いを更に強くした。 高校2年生の時に大学受験に向け、何を学ぶべきか母親に相談。将来について考え始めた時、子供の頃にスーパーで、まだ食べられそうな食品が廃棄物として捨てられていたことに衝撃を受けたことを思い出した。そこで、母から「物流や流通がいいのでは」とアドバイスを受けたことが、物流に興味を持つきっかけになった。 仕事の現場を見れば分かると考え、家族にも手伝ってもらいながら情報を収集。インターネットでインターンシップを受け入れている物流企業を探したところ、秋元運輸倉庫の名前を見つけ、自分からアクションを起こした。 インターンシップは4月3~5日に実施。同社では2015年から年2回、学生を受け入れているが、高校生が個人で申し込んできた事例は初めて。自主的に物流について学んでいることを聞いていたことから、IT企画室の坂田良平マネージャー(47)は「本来、高校生向けのインターンシップは、社会人の働く姿を見てもらったり、事業内容を説明したりした上で、将来を考えてもらうものだが、今回は額に汗をかいて働く大切さや物流の楽しさを伝えることを主眼にカリキュラムを組んだ」と説明する。 自社倉庫や営業所、取引先の石こうボード再生工場を見学したほか、トラックの点検や点呼、流通加工作業などを体験。女性ドライバーが運転するトラックにも乗車したが、「大きなハンドルをさばく姿がかっこ良かった」と語る。 更に、「倉庫を見学して、自分の思っていた以上にスケールが大きいと感じた。大型トラックが次々に荷物を運び入れるところを目の当たりにし、『これが日本をつくっているんだ』と思った」と強調。一方で、「女性の少なさが印象に残った。女性でも現場で働けるという認知度が少ないのかな」と話す。 青山さんを受け入れた秋元運輸倉庫にも変化があったようだ。担当した上田珠緒さんは「社内の雰囲気が変わり、周りからの注目度も上がった」と明言。坂田氏も「インターンシップやQCサークル活動、HPの拡充などの企画に対し、社内で理解を得られるようになり、社員が主体的に協力してくれるようになった。面白いと感じながら関わってくれるようになり、モチベーションアップにもつながっている」と言う。 青山さんは、今後について「まずは海外でインターンシップができるような大学を目指している。できれば中国に行きたい。EC(電子商取引)による通販の荷物が増えているので、人口が多い中国の物流の仕組みを知りたい」と意気込む。(井内亨) 【写真=電話対応に臨む青山さん(4月4日)】