滋賀近交運輸倉庫、中継輸送エリア拡大 年内メド 東北―北陸―関西で トレーラ100台増車へ
物流企業
2017/10/26 0:00
滋賀近交運輸倉庫グループ(山田普会長、滋賀県長浜市)は年内をメドに、東北―北陸―関西で中継輸送を開始する。10月から関西―関東、関東―東北が本稼働しており、対象エリアを広げ、中継輸送による全国配送ネットワークの完成を目指す。荷主企業や協力会社にも参加を呼び掛け、将来的には、荷物の種類や方面といったデータを基に、最適な組み合わせを自動的に算出できる仕組みも構築する考えだ。(落合涼二) ドライバーの長時間労働抑制及びコンプライアンス(法令順守)経営を徹底させるため、3年前から少しずつ環境を整備し、本格化にこぎ着けた。最大積載量26トンのウィング車と全開放型のオープンスライダーを開発するとともに、片道200~250キロメートルを一つの圏内に設定。全国に50拠点を持つ強みを生かし、ドライバー不足に伴う輸送能力減退や過労などを防ぐことで、差別化を打ち出す。 関西―関東は、静岡県掛川市に中継基地を設けた。関西及び関東から出発してトレーラを交換し、それぞれの拠点に戻る。発地では、積み込み専用のドライバーを設け、トレーラのドライバーは走行に特化。これにより、改善基準告示で定められている1日原則13時間の拘束時間をクリアする。その日のうちに自宅へ帰れるため、ドライバーや家族の満足度向上にもつながっている。 「積み込み時間を無くせば拘束時間を減らすことが可能。トレーラ2台を、走行ドライバー2人、積み込みドライバー1人の計3人で運用している。台数が増えれば、もっと効率は上がる」(山田会長) 13トン積みの大型トラックを26トン積みトレーラにすることで、1運行による積載量は倍増。燃料消費量はアップするが、運行台数を減らせるため、試算では二酸化炭素(CO2)排出量が34%削減、高速道路通行料金もETC(自動料金収受システム)割引適用前で12%削減を見込む。労働環境改善とコンプライアンス徹底だけでなく、二次的な効果が生まれ、荷主企業への貢献にも役立っているという。 東北―北陸―関西では、新潟県燕市に拠点を確保。冬季の積雪も考え、トレーラが施設内まで直接乗り入れられる仕様となっており、簡易事務所とインタンクも設ける予定。福井県と富山県にも拠点を構えることで、関西ルートを確立させる。仙台市から北海道苫小牧市へ鉄道輸送で運んでいる荷物についても、岩手県花巻市周辺に拠点を置き、トラック輸送へのシフトを検討する。 中継輸送を本格化するに当たっては、情報管理・運営会社、日本ニューロジックス(山田社長、長浜市)を2016年9月1日付で設立した。17年5月に第一種貨物利用運送事業の登録を終えており、取引先7社と提携。今後、提携先の拡大をはじめ、同業他社にも参画を求める一方、滋賀近交運輸倉庫グループも加わることにより、取引の透明化や公正化を図る。 山田会長は「日本海ルートは太平洋ルートに比べ時間が短くて済む。専用トレーラは現在、100台が運行中だが、最大200台まで増やす。そうすることで、運行ルートにバリエーションが生まれる。一方、マンパワーでの配車には限界があるので、自動化にも着手する。トラック、ドライバー、荷物、それぞれの準備を同時に進め、荷主企業に最適な物流を提供し、地域社会にも貢献していきたい」と話している。 【写真=最大積載量26トンのオープンスライダー型トレーラを最大200台まで増やす】