熊本県、八代地域を物流拠点に 高速道路&港を強化 大型免許取得など支援
行政
2017/10/05 0:00
熊本県は、港湾や鉄道、幹線道路網などの結節点である八代地域を広域物流拠点として整備する「やつしろ物流拠点構想」を策定した。高速道路や八代港といったハードインフラを強化するとともに、トラックドライバーに必要な大型自動車免許の取得支援などソフト面を整える。九州各地の生産拠点を結ぶハブ機能を持たせ、「九州のゲートウェー」を目指す。9月28日、同県が発表した。(佐々木健) 今回の構想は、県が2016年12月に策定した「熊本復旧・復興4カ年戦略」に基づくもので、①モノの集積と販路の拡大②国際貿易港を中心とした物流に関するソフトインフラの充実③民間投資の誘発――を進める。 物流事業者向けでは、大型自動車免許取得助成、女性が働きやすい環境整備、国際物流に強い人材確保などのソフトインフラを充実させる。また、物流関連企業の誘致、モーダルシフト支援に言及している。 課題には、国際コンテナ航路の誘致、輸出産品の販路拡大、13年にまとめた「くまもと県南フードバレー構想」との連携などを挙げた。 八代地域の物流面の特徴は、高速道路と鉄道などの高速交通網の結節点で、県内最大の国際貿易港の八代港があること。同港の取扱量は、県内港湾全体の外国貿易の85%、国内向けの59%を占める。16年の国際コンテナ貨物取扱量は1万8980TEU(20フィートコンテナ換算)と、過去最高となっている。 21年までにクルーズ船専用の耐震強化岸壁を整備する予定で、完成すれば旅客と貨物を分離し、港湾機能の向上につながるとみている。ガントリークレーンは現在、最大5千トン級のコンテナ船までしか対応できないが、3万トン級のコンテナ船に対応できる大型クレーンとコンテナヤードが18年4月に供用開始する。5万5千トン級のコンテナ船へも対応していく。 更に、南九州西回り自動車道や九州中央自動車道、各インターチェンジと八代港、九州新幹線・新八代駅などの交通結節点を結ぶ幹線道路の整備なども予定している。 将来的には民間資本の活性化で、冷蔵倉庫やCFS(コンテナ・フレイト・ステーション)などの物流施設の整備が進むことを期待している。 【写真=九州各地の生産拠点を結ぶハブ機能を持たせ、「九州のゲートウェー」を目指す】