三重近物通運、IT点呼で事故激減 ドライバー意識が変化 多方面の業務改善
物流企業
2017/09/28 0:00
【三重】三重近物通運(酒徳茂社長、三重県伊勢市)では、全社でIT(情報技術)点呼を導入し、法令順守や人件費・労働時間の削減だけでなく、多方面で業務改善に役立てている。管理者1人で全営業所の点呼ができるほか、ドライバーにとっては他営業所のスタッフを相手にすることで緊張感が生まれるため、導入してから交通事故、商品事故ともに激減しており、安全面でも効果が表れているという。(星野誠) 2016年12月15日、本社営業所、上野営業所(伊賀市)、名古屋営業所(愛知県一宮市)、津営業所(津市)で、安全性優良事業所認定(Gマーク)を新たに取得。既に取得していた松阪(松阪市)、志摩(志摩市)、長島(紀北町)の各営業所と合わせ、IT点呼の実施要件である全社Gマーク取得を完了した。必要な機器類の導入や、運輸支局への届け出を進め、17年7月1日に全社でスタートさせた。 機器類は、各営業所に専用パソコン(PC)を用意し、ウェブカメラ、免許証リーダー、マイク、スピーカー、アルコール検知器など一式がセットになった「IT点呼キーパー」を導入。7営業所を結んだIT点呼が可能になり、いずれかの営業所に管理者を1人置けば、夜間でも各拠点での点呼に対応できるようになった。 酒徳氏は「管理者1人で全営業所をカバーできるため、人件費と労働時間を削減できた。また、IT点呼はテレビ電話に近い感覚で、対面点呼と同様のコミュニケーションが可能。同じ営業所に務め、顔なじみの管理者だとなれ合いになりがちだが、他営業所のスタッフが相手だと緊張感が生まれ、ドライバーがハキハキと受け答えするようになった。本来あるべき点呼の姿になっている」と強調。 更に、緊張感のある点呼は、運転と荷役作業にも大きなプラス効果をもたらしている。酒徳氏は「IT点呼を実施してから、交通事故と商品事故がともに激減し、軽微な接触さえも起こさなくなった。ドライバーの意識が変わり、安全への自覚が生まれている」と明かす。 各営業所での点呼記録を整理し出力すれば、そのまま点呼簿になるので、事務作業の負担も大幅に軽減された。酒徳氏は「コンプライアンス(法令順守)のため、点呼の100%実施を目指してスタートさせたが、IT点呼が多方面の改善と効率化につながっている。トラック事業では点呼がいかに大事なものか、再認識させられた」と力を込める。 【写真=7営業所を結んだIT点呼が可能に】