奈良県&ヤマト運輸、路線バスで客貨混載 社会実験 山間部の物流効率化
物流企業
2017/09/28 0:00
奈良県、宇陀(うだ)地域公共交通活性化協議会(竹内幹郎会長、宇陀市長)、奈良交通(上田良寿社長、奈良市)、ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)は10月1日から、路線バス及びコミュニティーバスを使った客貨混載の社会実験を開始する。天川、奥宇陀の両地区が対象で、2018年3月31日まで行った後、結果を踏まえながら、本格化や他路線への拡大も検討する。 1日から奥宇陀地区でスタート。ヤマト運輸のドライバーが、奈良交通の榛原(はいばら)営業所(宇陀市)でコミュニティーバスに荷物を積み込み、集配エリアの掛西口バス停(曽爾(そに)村)でヤマト運輸の担当ドライバーに引き渡す。天川地区では2日から始め、奈良交通吉野支社(大淀町)で積み込まれた荷物を、天川川合バス停(天川村)で担当ドライバーが受け取る。 過疎地や高齢化の進む山間部で、生産性向上と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上が狙い。客貨混載に初めて取り組む奈良県は「バス路線網の継続で、住民が安定的に路線バス・コミュニティーバスを利用でき、生活基盤の維持、向上につながる」と期待している。 また、ヤマト運輸によると、ドライバーの往復走行距離は、天川地区で60キロ、奥宇陀地区で70キロ、それぞれ短縮され、時間もそれぞれ100分、120分の削減効果を見込む。同社では、これにより、「集配時間が拡大し、地域のニーズに応えやすくなるとともに、ドライバーが休憩をより取得しやすくなるメリットが生まれる。燃料の節約や二酸化炭素(CO2)の削減にもつながる」としている。 なお、ヤマト運輸の路線バスを使った客貨混載は、岩手県(15年6月)、宮崎県(10月)、北海道(16年9月)、熊本県(10月)、兵庫県(17年6月)で展開されており、奈良県が6カ所目。(落合涼二) 【写真=バス路線網の継続も期待する】