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富士運輸など、空きトラック情報を公開 サイト立ち上げ 誰でも無料で閲覧

物流企業

2017/09/25 0:00

 富士運輸(松岡弘晃社長、奈良市)、NTTドコモなど4社は、全国の空きトラック情報を一つの地図上に公開し、荷物と車両のマッチングを実現する情報サイト「ドコマップジャパン」を立ち上げ、11月1日からサービスを始める。空きトラック情報を誰でも無料で閲覧できるのが特長。これにより、荷主や運送会社が直接、空いているトラックを探すことができる。荷主側の輸送ニーズを掘り起こすことで、運送会社の受注機会を増やして空車率を減らし、業界全体での輸送効率の向上を目指す。(渡辺弘雄)  情報サイトは、富士運輸の親会社であるフジホールディングス(松岡社長、東京都港区)が全額出資し設立したドコマップジャパン(高林治幸社長、同)が運営する。今回の協業には、イーソーコ(遠藤文社長、同)、トラボックス(吉岡泰一郎社長、渋谷区)も参画している。  システムの開発に当たっては、NTTドコモの「かんたん位置情報サービス」を基盤として、富士運輸が運送事業に特化して開発した位置情報管理システム「ドコマップ」を利用。このシステムをドコマップジャパンが全国の運送会社に販売した上で、利用者が登録した空きトラック情報をサイト上の地図に表示するプラットフォーム「ドコマップジャパン」を提供する。  空車情報を掲載したい運送会社はNTTドコモのGPS(全地球測位システム)端末をトラックに取り付け、積載量や写真などの情報を入力する。初期費用は掛からず、1台当たりの利用料は月額1480円(税抜き)。各車両の端末データは、クラウド型専用サーバーに1分間隔で自動的に記録される。  一方、サイトはインターネット環境さえあれば誰でも無料で閲覧できる。利用者は地図上の空車情報を見て、その運送会社に直接商談を持ち掛け、互いの条件が折り合えば、取引は成立する。ドコマップジャパンは商談に介入しないため、手数料が掛からない。  今後はトラボックスの情報サービス「トラまっぷ」とも連携させ、会員の運送会社1万3千社にシステムの普及・拡大を図っていく。更に、空きトラックの位置、倉庫の情報などを融合しビッグデータの解析を進め、両者のマッチングをAI(人工知能)で高度化することで、更なる空車回送の削減を通じて運送会社の収益の大化を目指す。  富士運輸では、このサービスを開発する以前、単独での問題解決が難しいことから、異業種によるコラボレーションを通じた打開策を模索。ドコマップ導入後、自社トラックの見える化によって、空車回送率を大幅に減らした。  ドコマップジャパンを含めた参画5社は20日、大阪市内で記者説明会を開き、システムの有効性をアピール。富士運輸の松岡社長は「このシステムを導入後、ドライバーの生産性が大幅に高まり、赤字経営を脱却できた。業界にとっても役立つ仕組みなので、ぜひ成功させたい。料金は、社会貢献の意味を考慮して低く抑えている」と語った。 【写真=握手を交わす(左から)イーソーコの大谷巌一会長、トラボックスの吉岡社長、ドコマップジャパンの高林社長、富士運輸の松岡社長、NTTドコモ関西支社の紀伊肇支社長、同関根聡法人営業部長】





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