高速道整備・利用の方向性、4車線化推進を検討 トレーラ分離スペース整備 ETCでの支払い義務化
産業
2017/09/18 0:00
国土交通省は14日、高速道路の整備・利用に関する今後の方向性として、暫定2車線(片側1車線)区間の4車線化(同2車線)の推進、ダブル連結トラック普及に向けたサービスエリア・パーキングエリア(SA・PA)へのトレーラの分離・連結スペース整備、SA・PAを活用した中継輸送、ETC(自動料金収受システム)による料金支払いの義務化の検討などを打ち出した。(田中信也) 同日開かれた、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会(寺島実郎部会長、日本総合研究所会長)で、「高速道路の安全を確保し、使いやすさを向上するための賢い取り組み」の方向性案として、事務局が示した。 高速道路ネットワークが拡大する中で、顕在化した安全上の課題や激甚災害時の対応、生産性向上への社会的要請を背景に、目指す方向性として①利用者の安全確保②強靭(きょうじん)で信頼性の高いネットワークの構築③快適な利用環境の実現――を掲げた。 更に、これに基づく具体的な施策・取り組みも提示。利用者の安全確保に向けては、暫定2車線区間について安全性や走行性、災害時・積雪時に考慮して早期に必要な対策を講じることとし、供用中区間の4車線化を推進。ただ、財源の制約などの課題を踏まえ、効果的な付加車線の設置、両側3車線での運用といった工夫も凝らす。暫定2車線で新たに整備する区間や、供用区間の一部では、中央分離帯にワイヤロープを設置する。 自動運転導入への取り組みでは、東京―大阪でのトラック隊列走行の事業化に向け、官民の役割分担を含めて環境を整備。新東名高速道路では、全区間での両側6車線運用が可能になるよう検討していく。 強靭で信頼性の高いネットワーク構築では、SA・PAの防災機能強化、集中豪雨発生時の通行規制の新基準設定と運用の具体化、準天頂衛星といった新技術の活用による雪氷作業の維持・強化などに取り組む。 快適な利用環境の実現を目指し、道の駅やガソリンスタンドへ一時退出してから復帰しても継続した料金とみなす制度の本格運用と、退出先を限定しない運用への拡大を模索。混雑が常態化している箇所への駐車スペース増設といった、休憩施設の使いやすさの改善にも努める。 トラック輸送の支援策としては、ダブル連結トラックの導入・普及を推進するため、SA・PAにトレーラの分離・連結スペースを整備。SA・PAについては、中継輸送への活用も促していく。 これらの施策を推進するための体制・仕組みづくりとして、中期的な整備方針を策定。国直轄の無料区間も含めて「安全・安心計画(仮称)」を打ち出し、毎年の事業計画に反映することで、早急に対策を実施できるようにする。 一方、今後の検討課題としては、混雑状況に応じた料金体系の導入、中京圏や有料・無料混在区間の料金体系、維持管理・更新費用の負担の在り方に加え、次世代型自動料金収受システム「ETC2.0」の早期普及、ETCによる支払いの義務化を挙げている。 賢い取り組みの方向性は、委員からの意見を踏まえて次回会合で再度検討し、今秋までに取りまとめる方針だ。 【写真=利用者の安全確保などを目指す方向性として掲げる】