第13次労災防止計画、陸運が死傷災害に重点 高齢化対応の施策盛る 荷役作業中の事故減へ
行政
2017/09/18 0:00
厚生労働省は2018年からの第13次労働災害防止計画の陸上貨物運送事業における対策について、高齢化など就業構造の変化に対応した施策を盛り込む。死亡災害が大幅に減る一方、死傷災害や50歳以上の死傷者数は、大きな改善がみられていない。基本的な安全対策の徹底や荷役作業員への教育に関する検討といった取り組みを通じ、荷役作業に関連した労災の防止につなげる。(土屋太朗) 14日開いた労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会で、同省が次期計画の論点を提示。今回の議論を踏まえ、次回会合で計画案を打ち出す。 次期計画期間は18~22年の5カ年を想定。陸運事業は、死傷災害の重点業種の一つに設定する。 労災は死亡・死傷とも減少傾向で推移している。12次計画の陸運事業の13~16年平均は、死亡災害が9次計画(1999~2002年)比53.4%減で、全業種(45.7%減)と比較しても大きく減少。交通事故の労災が66.9%減と大幅に減ったことが寄与した。 一方、死傷災害は全体の14.7%減に対して、陸運事業は11.9%減と下回った。同省は荷役作業ガイドラインを策定するなど対策を進めていたため、「一定の効果は見られるものの、荷役作業に関連する労災防止に引き続き取り組む必要がある」と指摘した。 また、陸運事業の50歳以上の労災は増加傾向にある。16年の死傷者数は12年比で878人増の5659人。50歳以上の死傷者数が占める割合でみると、全体の3.6ポイント増に対して、陸運事業は5.9ポイント増だった。 こうした現状を踏まえ、厚労省は全業種の対策の柱に①死亡災害の撲滅②過労死の防止など労働者の健康確保③就業構造の変化や働き方の多様化に対応――など8項目を提示。その上で、陸運事業には、保護帽の着用など基本的な安全対策の徹底や荷役作業員の教育に関する検討を行うよう明記する方針を示した。 更に、分科会で委員から「事故が減るような安全技術に対する支援も検討すべきではないか」といった意見が出た。 【写真=死傷災害や50歳以上の死傷者数は、大きな改善がみられていない】