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日本郵便 基本運賃上げ来年3月 ゆうパック配達 希望時間の選択肢広げ Web決済割引を導入

物流企業

2017/09/11 0:00

 日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)は5日、宅配便ゆうパックの基本運賃を2018年3月1日から引き上げる、と発表した。併せてクレジットカード決済により割安に発送できる「Web決済型ゆうパック」の新設や、玄関前・車庫への配達も可能にするなどサービス改善も順次図っていく。ヤマト運輸(長尾裕社長、中央区)、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)、日本郵便の宅配便シェアで9割強を占めるトップ3が相次いで基本運賃改定に踏み切ったことで、物流業界での値上げ機運は更に高まりそうだ。(田中信也)

 日本郵便は、近年の労働需給ひっ迫や社会保険料負担の増加に伴う人件費アップなどに対応して、個別に相対運賃を適用している大口顧客に対しては、これまでも契約見直しの交渉を進めてきた。だが、こうした傾向が一層加速する状況で、引き続き安定的に、ゆうパックのサービスを提供していくためには基本運賃の引き上げが不可避と判断した。

 改定は、全てのサイズが対象で、改定率は平均12%程度。値上げ幅は60サイズ110円(沖縄県発着40円)、80サイズ110円(90円)、100サイズ130円(140円)、120サイズ160円(190円)、140・160サイズ190円(240円)、170サイズ230円(290円)としている。なお、同時に10個以上を対象に適用していた数量割引は廃止する。

 また、重量上限を従来の30キロから25キロに引き下げた上で、25キロ超30キロ以下を対象とした「重量ゆうパック」を新設。全てのサイズの基本運賃に500円を上乗せする。
一方、eコマース(電子商取引)市場の拡大により、個人で宅配便を利用する機会が増え、共働きや単身世帯が増加するといったライフスタイルの変化に対応。「身近で差し出し、身近で受け取り」をコンセプトに、ゆうパックのサービス改善に着手する。

 eコマースでの利用に対応した新サービス「Web決済型ゆうパック」を導入する。クレジットカードなどにより事前決済の上、オンラインで発行した専用の発送ラベルを荷物に貼り付けることで、一般の基本運賃から180円を割り引く。更に、直近1年間に10個以上利用する場合は10%引きとし、発送時に郵便局の窓口での受け取りを指定(郵便局受取割引)すると100円割り引く。

 差出方法は、郵便局、コンビニエンスストア、宅配ロッカー「はこぽす」への持ち込みに限定。宛名は自宅のプリンターで印刷するか、郵便局、コンビニで印字する。また、自宅で確実に受け取れるよう配達希望時間帯を指定する際の選択肢を拡充する。サラリーマンなどの帰宅に合わせた時間帯として「午後7~9時」を新たに設定。従来の「午後6~8時」「午後8~9時」も継続し、利用者の多様なニーズに対応する。加えて、不在時にも受け取れる指定場所配達サービスとして、受取人が指定すれば玄関前や車庫などへの配達も可能とする。

 はこぽすは、首都圏の主要都市部を中心に6千カ所程度に増設。このほか、ゆうパックの宛名ラベルを簡単に作製できる無料アプリを提供するとともに、自宅以外での受け取りにポイントを付与するサービスも実施する計画だ。

 ゆうぱっく宛名ラベルアプリは18年3月、そのほかのサービスは「18年度中に段階的に実施していく」(広報室報道担当)。

 今回発表した基本運賃の改定や新サービスの実施により、年間80億円程度のコスト改善効果を見込んでいる。5日の発表会見で、横山社長は「ドライバーに負担が掛かるようなビジネスモデルでは成長できない」と理解を求めた。

【写真=サービス提供には運賃引き上げが不可避と判断】





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