ドローンの荷物輸送、目視外・第三者上空を実現 経産・国交省が検討会立ち上げ 審査要領 来年度に改訂
行政
2017/09/07 0:00
経済産業、国土交通の両省は1日、小型無人機(ドローン)による荷物輸送の実現に不可欠な、目視外と第三者(の敷地)上空での飛行に関する検討会を立ち上げた。本格実施に向け、機体の性能や安全確保に必要な体制などを討議するが、物流での利用に求められる要件については、物流分科会を別途開催し、検討を深掘りしていく。(田中信也) ドローンによる荷物配送は、15年11月に開催した政府の未来投資に向けた官民対話で安倍晋三首相が打ち出した「早ければ3年以内に可能とする」との方針を受け、官民が一丸となり技術開発と環境整備を進めている。 実現の最低条件である目視外と第三者上空での飛行には、機体の機能・性能、ドローンの操縦者や安全確保の体制に必要な体制を検討する。このため、東京大学教授で、日本UAS産業振興協議会(JUIDA)理事長を務める鈴木真二氏や、千葉大学特別教授で、日本ドローンコンソーシアム会長の野波健蔵氏ら航空、宇宙、ドローン分野の有識者からなる検討会を設置。 18年末までに目視外飛行に関する要件や、第三者上空飛行についての論点整理を取りまとめる。18年度にドローンの飛行に関する許可・承認の審査要領を改訂し、目視外飛行を認める要件を明確化する。 検討会の下に設置する物流分科会は、物流での利用に特化し、機体の機能・性能、安全確保体制を検討。日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)の上田貴之・郵便・物流商品サービス企画部課長、ヤマトホールディングスのデジタルイノベーション推進室の茂木論氏、五光物流(小林章三郎社長、茨城県筑西市)の柳沢茂・トラック・環境・機工部顧問らがメンバーに名を連ねている。 初会合の冒頭、国交省航空局安全部の多門勝良安全企画課長が「航空機は、単体の管理から一人が複数機をみる管制に発展した。現在は操縦者の技能に委ねられているドローンも、しっかりと運航管理できるシステムが求められる」と、検討の趣旨に言及。経産省製造産業局の片岡隆一産業機械課長は「産業の健全な発展に向けては、安全確保が必須。『空飛ぶカメラ』となったドローンが更に、物流、警備など様々な分野で普及するようしっかり検討して欲しい」と呼び掛けた。 その後、事務局が目視外飛行と第三者上空飛行に必要な要件、諸外国の基準などの調査分析といった検討方針を説明した上で、考慮すべき論点を提示。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO、古川一夫理事長)がドローンの性能評価基準の検討状況を、日本無人機運行管理コンソーシアム(鈴木代表)とJUIDAが海外の法規制の動向を、それぞれ説明した。 【写真=機体の性能や、安全確保に必要な体制などを討議】