厚労省労政審分科会、労基法改正案が議論再開 残業上限規制を一本化
行政
2017/09/04 0:00
厚生労働省は8月30日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の分科会を開き、労働基準法改正案の議論を再開した。2015年の提出後、継続審議となっていた同法改正案は、中小企業の時間外労働時間の割増賃金率引き上げや高度プロフェショナル(脱時間給)制度の導入で構成されていたが、同省は残業上限規制もまとめて法案化する方針を提示。9月末にも召集する臨時国会での法案提出を目指すが、労働者側は法案の一本化に反対を表明している。(土屋太朗) 改正案は長時間労働の抑制が大きな柱。中小企業における月60時間超の残業への割増賃金率を、現行の2倍となる50%にする。更に、10日以上の年次有給休暇を持つ労働者に対し、5日分は労働者の希望を踏まえて指定。有休を確実に取得できるようにする。 中小企業の割増賃金率アップは当初、19年4月のスタートを予定していた。ただ、法案には高収入の専門職に対し、時間でなく成果で評価する「高度プロフェショナル制度」なども盛り込んでいたため野党が反発し、成立が見送られていた。 今回議論する改正案には、政府が17年3月にまとめた「働き方改革実行計画」で示した残業時間の上限規制を、継続審議となった改正案に加える方針。トラック運転者は、施行5年後に月80時間(年960時間)以内、将来的には月60時間(年720時間)以内となる。 ただ、労働者側は依然として高度プロフェショナル制度への抵抗から、一本化には反対しており、提出されたとしても成立するかは不透明。割増賃金率アップの施行期日も、法案成立が遅れていることから、当初予定していた19年4月は難しく、分科会での検討課題となる見通しだ。 【写真=改正案は長時間労働の抑制が大きな柱】