国交省、荷主情報を聴取・記載 過積載の責任明確化へ 今秋にも試行 許可申請・取り締まり時
行政
2017/08/28 0:00
国土交通省は今秋にも、過積載に対する荷主の責任を明確化するため、特殊車両の通行許可申請時や車両制限令違反の取り締まり時に荷主情報を聴取・記載する制度を試行実施する。許可申請時や取り締まり時という「入り口」と「出口」で事実上、荷主情報の提供が義務化されれば、過積載の抑止力向上が期待できる。(田中信也) 22日に開かれた社会資本整備審議会の道路分科会(石田東生分科会長、筑波大学特命教授)で、今後の道路政策の具体的な提案などを示した建議を取りまとめた。この中で、「過積載撲滅に向けた取り組みの強化」の政策案が提示されたことを受け、同制度の導入を検討する。 政策案では、過積載の大きな要因として「荷主からの要求や非効率な商慣習」を挙げ、「トラック事業者のみならず、荷主にも責任とコストを適切に分担させることを検討する必要がある」と指摘。これに基づき、取り締まり時の違反者への荷主情報聴取、荷主も関与した特車許可申請などを提起している。 トラック事業の取引環境適正化には「荷主の関与と責任負担が不可欠」との機運が高まる中、道路局も認識を共有。まずは、エリアや期間など対象を絞り、今秋にも試行実施する方針だ。実施結果を検証の上、本格導入の可能性も探る。 2016年度の車限令違反車両の一斉取り締まりでは、ドライバーからの荷主名の聞き取りを試験的に実施。試行期間中は、基地局(検問所)での取り締まりが対象となる模様だ。 一方、特車許可は現行制度でもトラック事業者、荷主ともに申請することができるが、実際にはトラック事業者による申請が多数を占めており、道路管理者が荷主を把握するのはほぼ不可能。こうした状況の改善ら向け、特車許可申請時に荷主情報を記載する方式についても試行する。 国交省や地方自治体、高速道路会社などの道路管理者は、道路を著しく損傷させる過積載に対して厳罰化を進めている。だが、全日本トラック協会(坂本克己会長)が16年度に実施したアンケートでは「荷主から(過積載を)強要された」との回答が15%を占め、トラック業界では荷主の責任が問われないことに対して不公平感が高まっていた。 【写真=期間中は検問所での取り締まりが対象の模様(16年11月、東京都江東区)】