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日本梱包、21メートルフルトレ「100台体制」 1878キロ8人で乗り継ぎ 省人化・CO₂削減

物流企業

2017/08/24 0:00

 ニッコンホールディングスの中核事業会社である日本梱包運輸倉庫(大岡誠司社長、東京都中央区)は、全長21メートルフルトレーラ(21メートルフルトレ)による輸送方式を成長戦略の一環として位置付け、100台(セット)に増強した運行体制を有効活用していく。中でも、NSC(ニッコン・スマート・キャリー)便は、北上市(岩手県)―熊本市の総延長1878キロを、8人のドライバ―が1台の車両を乗り継ぎ、ほぼ3日間かけて着地まで輸送する。1台のトラックがリレー方式でこれほど長い区間を走るのは、ほとんど例が無い。(高木明)  「1回の運行で、大型トラック2台相当分を運べるため、省人化効果が非常に大きい。CO2(二酸化炭素)も大幅に削減できる。効率化や環境対策の面で大きな役割を果たしている」。江原勝雅・執行役員自動車部長は21メートルフルトレの導入効果についてこう話す。  同社が21メートルフルトレを最初に導入したのは14年2月。それまでは主に、19メートルフルトレが中心だったが、13年11月、フルトレの全長上限値が19メートルから21メートルに規制緩和されたのを機に本格導入を決定。当初2台でのスタートだったが、16年12月末までに100台に増強した。  主な運行ルートは主要荷主の生産工場が立地する埼玉―三重、群馬―三重、長野―埼玉、富山―熊本などで、自動車及び関連部品、二輪車、衛生機器、住宅関連部材、農機具などの各メーカーの工場間の貸し切り輸送や積合せ輸送などに対応。今後は一般雑貨輸送の需要増を視野に入れながら、運行ルート拡大にも取り組んでいく。  中でもユニークなのが、16年7月から運行を始めたNSC便。北上―熊本に設けられた8カ所の乗り継ぎ(中継)基地を経由する定期運行サービスだ。同一のヘッドとシャシーを使い、同区間を約43時間で結ぶ。定時運行が原則で、各中継基地での荷下ろし、積み込みなどの時間を2~4時間見込み、運行スケジュールを設定している。  走行距離200キロをメドに、同社の営業所を中心として計8カ所の中継基地を、ドライバーが乗り継ぐ形で南下。北上営業所を午後10時に出発した便は8人のドライバーが乗り継ぎ、翌々日午後7時に熊本営業所に到着する。また、熊本に到着した運行便は翌日午前10時に出発し、3日目となる午前5時30分に北上に戻る。主な積み荷は同じく主要荷主の貨物及び一般雑貨などだ。  日本梱包には、ドライバー1500人が在籍。このうち150人がフルトレに乗務可能なけん引免許を併せ持つ。江原氏は「走行ルートなどに制約条件はあるが、当社では今のところ特段の支障は無い。また、21メートルフルトレの乗務を希望するドライバーが後を絶たず、ドライバーの士気向上につながっている」と強調する。  同社は、国土交通省が16年11月から開始した「ダブル連結トラック実証実験」にも主力企業として参画。更に、独自に全長23メートルフルトレ輸送の実現に向けた調査・研究も進めており、慢性的なドライバ―不足を背景に、フルトレ輸送の可能性を追求していく。 【写真=一般雑貨輸送の需要増を視野に運行ルート拡大にも取り組んでいく】





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